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新HB母子感染予防法実施の留意点と特殊例への対応

No.4715 (2014年09月06日発行) P.59

久保隆彦 (国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター産科医長)

登録日: 2014-09-06

最終更新日: 2016-10-26

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新HB母子感染予防法を実施する際の留意点がいくつかある。添付文書には出生直後のグロブリン投与は5日以内とあるが,48時間以降の投与では分娩時の感染防止効果のないことが実証され,できる限り早期投与がよい。したがって,添付文書には「12時間以内に投与することが望ましい」と併記した。さらに,投与漏れ防止のために母子手帳にホチキス留めできる「母子感染予防カード」を作成し配布している。ロット番号が貼付可能で,接種施設のサイン,次回の予定が記入できる。特に,1カ月健診時に次回の6カ月の接種時期と施設を母親と確認することが大切である。
わが国の母子感染予防の対象はHBキャリア母体から出生した児のみである。HBキャリアとなった児の分析では半数以上は母親からの感染であるが,約1/4はキャリア父親からであり,同居するHBキャリアからの感染もあると考えられている。したがって,このような児に対しては,海外で積極的に実施されているワクチン接種(0,1,6カ月)のみを実費ではあるが行うことを十分に説明し,実施することが肝要である。このときに出生時のグロブリン投与は必要ない。HBキャリアから出生した低出生体重児へのワクチン接種のエビデンスは海外でも乏しいが,今回の新予防法の2回接種後で抗体獲得率が低いことが示唆されている。日本小児科学会は2000g未満の低出生体重児には,通常のワクチンクールに生後2カ月の投与を追加した計4回投与を勧めている(文献1)。

【文献】


1) [http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/hbboshikansen.pdf]

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