株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

皮膚は内臓と心の鏡 [プラタナス]

No.4827 (2016年10月29日発行) P.1

福田英嗣 (東邦大学医療センター大橋病院皮膚科准教授)

登録日: 2016-10-28

最終更新日: 2016-10-27

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 「誠実で優しい先生に治療していただき感謝しています」。そう書かれた手紙が届いたのは、私が皮膚科医になり7年目の初夏だった。

    皮膚は体と外界との境界に存在し、多くの刺激を直接受けながら体を保護している。また、「皮膚は内臓の鏡」と言われ、様々な内臓病変に伴い、皮膚に変化を起こす。さらに、内臓悪性腫瘍に伴い生じる皮膚疾患もあり、紅皮症やLeser-Trélat徴候(痒みを伴う脂漏性角化症が短期間のうちに多発)、類天疱瘡などが代表的である。したがって、皮膚科医は皮膚症状から隠れている内臓病変を見つけ出すことも重要な責務である。

    皮膚科医となり4年ほど経過した頃に、全身が紅褐色調で鱗屑を伴う、いわゆる紅皮症状態の高齢男性が受診した。この方は強い痒みに苦しみ、また洋服の着脱の際に鱗屑が落ちることにとても悩んでいた。湿疹続発性紅皮症の診断で入院加療し、症状は少しずつ良くなったが、完治には至らなかった。治療中に前述のLeser-Trélat徴候が出現したため、全身精査を行ったところ膀胱腫瘍が確認され、泌尿器科に依頼し切除術が施行された。術後、皮膚の症状もそれまでに増して軽快に向かっていたが、初診から3年後に急性心不全で永眠された。それまでの間、自分が主治医として皮膚症状の治療を行った。

    残り433文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    関連求人情報

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top