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痛みに対する漢方の力 [プラタナス]

No.4826 (2016年10月22日発行) P.1

光畑裕正 (順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター麻酔科学・ペインクリニック講座教授)

登録日: 2016-10-21

最終更新日: 2016-10-24

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  • ペインクリニック外来で治療する痛みは難治性のことが多く、一般的には三環系抗うつ薬、Caチャネルα-2δサブユニット遮断薬、麻薬などを処方している。また、難治性の痛みに対して漢方が著効する多くの症例も経験している。

    痛みの治療には、漢方では駆瘀血剤や利水剤が主に使われている。慢性痛の患者では、様々な治療法を試みても症状が改善しないまま経過が長くなり、精神的な緊張やうつ状態を伴うことをよく経験する。漢方医学的には気の異常を伴っていることが多く、痛みが長期間持続していれば「冷え(水)」や「血流不全(瘀血)」を改善するとともに「気」の異常を改善する必要がある。

    慢性痛に対して、私は抑肝散(抑肝散加陳皮半夏)、半夏厚朴湯、四逆散、柴胡加竜骨牡蠣湯、人参養栄湯などを頻用している。

    85歳の男性が肺癌(扁平上皮癌、左B6、B10)と診断され、本人と家族の希望により対症療法にて経過観察中に、疼痛コントロール不良のため疼痛管理の依頼を受けた。左胸脇部から背部にかけて痛みがあり、デュロテップ®  MTパッチ4.2mg 3枚、レスキューとしてオキノーム®散0.5% 5mgが処方されていた。一日中、持続的な痛みがあり、夜間も痛みで目が覚めてしまい、食欲もなく、ADLの低下がみられた。

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