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肥満症の小児に対する投薬量はどのように決めればよいですか?

No.4772 (2015年10月10日発行) P.59

岡田知雄 (神奈川工科大学応用バイオ科学部 栄養生命科学科教授)

登録日: 2015-10-10

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

近年,小児においても肥満症をしばしば経験することがありますが,肥満症への投薬では体重の勘案で迷うことが多くあります。年齢ごとの薬用量比(von Harnackの表)がよいのか,体表面積からの計算がよいのか,ご教示下さい。 (東京都 A)

【A】

小児の肥満症に対する投薬に関して特に注意すべきことは,過量投与とならないようにすることです。ご質問のような算定に関する決まりは特にありません。
一般的な投薬(経口)では,身長別の標準体重に沿った投薬量の換算がよいでしょう。たとえば,10歳の男子で身長130cm,標準体重30kgなら,肥満症患児の体重が60kgでも標準体重の投薬量を投与することになります。また,年齢に合わせて投薬量が決められている薬剤では,それにしたがって投薬します。10歳代の小児では,成人投与量を用いて投与されることも行われています。特殊な場合として,厳密な管理を要する麻酔薬などでは,体組成を評価し薬物血行動態も勘案して投薬量を決定することも試みられていますが,一般化しているわけではありません。
成人における参考ですが,肥満者の投薬量は,体重によって決めると過量になり,体表面積によって決めると過小になります。そこで,除脂肪体重などほかの指標で投薬量を決める試みもされているようですが,この方法もまだ確立されてはいないようです(文献1)。

【文献】


1) Pai MP:Pharmacotherapy. 2012;32(9):856-68.

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