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小児医療が充実した16年度改定 [お茶の水だより]

No.4796 (2016年03月26日発行) P.9

登録日: 2016-03-26

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▼間もなく運用が始まる2016年度診療報酬改定だが、その方向性と内容は概ね医療関係者から一定の評価を得ているようだ。今改定の特徴の1つは、小児医療の評価を軒並み充実させた点にある。
▼外来では、「小児かかりつけ診療料」を新設。施設基準には、(1)電話などの問い合わせへの常時対応、(2)急性疾患発症時の対応方法やアトピー性皮膚炎など慢性疾患の管理方法についての指導や診療、(3)予防接種歴の把握とスケジュール管理などに関する助言―などが並ぶ。算定には同意が必要となるため、かかりつけ医の役割を保護者に周知するきっかけになるという効果も期待できる。
▼入院では、「小児入院医療管理料(3、4、5)」に重症児の受け入れ実績を評価する「重症児受入体制加算」を新設。また、小児慢性特定疾病患者については、15歳未満までだった小児入院医療管理料の算定対象年齢を20歳未満まで引き上げる。小児慢性特定疾病と闘う患者の成人移行を支援することが狙いだ。小児慢性特定疾病を巡っては、昨年の制度改正により医療費助成対象が拡大された。さらに今改定では、250点から270点に引き上げられる小児科療養指導料の対象疾患に小児慢性特定疾病が含まれることになり、患者へのサポート体制が充実する。
▼現在、待機児童への対応が課題となっているが、小児医療を巡る評価充実も子育て支援の1つといえる。いざという時に一定の医療が受けられる体制が整っていれば保護者の不安もいくぶん和らぐのではないか。小児かかりつけ診療料の算定には、初期小児救急医療への参加や幼稚園の園医就任などハードルは低くないが、保護者からすれば一番身近に小児医療の充実を実感できる施策だろう。是非多くの医療機関が算定できるよう体制を整えてほしい。


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