クリニックの人材採用を成功させるには,応募者の性格特性や思考傾向を把握することが重要です。そこで注目されているのが「適性検査」であり,採用プロセスを効率化し,医療人材のミスマッチを防ぐためのツールとして,多くの医療機関で導入が進んでいます。小規模なクリニックでは,限られた人員で業務をこなす必要があるため,医療チーム全体の連携がとても大切です。クリニックに合った特性や,業務に活かせる特性を持つ人材を選定できないと,早期離職や職場の雰囲気の悪化につながり,ひいては医療の質に影響を及ぼす可能性があります。
今回は,人材採用時に実施する適性検査について正しく理解して頂くために,その概要を説明するとともに,クリニックにふさわしい人材を採用するには適性検査をどう活用すれば良いかについて解説します。
適性検査とは,応募者の人柄や行動パターン,協調性などを数値化する評価ツールの総称です。医療業界も含めて様々な企業の採用活動で導入されており,人材の性格特性を数値としてとらえることで,採用プロセスの客観性を高めるという役割を果たしています。
たとえば,面接ではハキハキと話す応募者でも,実際には集団で働くのが得意ではなかったり,予想以上にストレスを感じやすかったりする場合があります。適性検査を実施しておくと,面接だけではわからない思考傾向や職務適性を早期に把握することができます。
公正な採用を実現するには,職業安定法や,厚生労働省のホームページにある「公正な採用選考の基本」に即した検査項目を選ぶ必要があります。政治的信条や私生活に不必要にふみ込むような検査は避け,あくまでも職務内容に関連する特性を確認することが望ましいでしょう。