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【文献 pick up】短時間作用型SGLT2阻害薬は夜間排尿回数を増やさず?:小規模RCT/JDI誌

宇津貴史 (医学レポーター)

登録日: 2024-09-28

最終更新日: 2024-09-27

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SGLT2阻害薬はその機序から、頻尿や多尿への注意が必要と考えられる。しかし作用時間の短い薬剤を用いた場合、少なくとも夜間排尿回数への悪影響はない可能性が示唆された。京都府立医科大学の中島華子氏らが918日、Journal of Diabetes Investigation誌で報告した。

【対象】

本試験の対象は、わが国18研究機関を受診中の、夜間排尿を1回以上認める成人2型糖尿病(DM65例である。すでに3カ月間以上SGLT2阻害薬を服用している例、ならびに食塩制限例/食塩摂取非過剰例は除外されている。平均年齢は70歳、男性が68%を占めた。利尿薬服用例は1例のみ。カルシウム拮抗薬は38%が服用していた。

【方法】

これら65例を「SGLT2阻害薬」(トホグリフロジン)群(34例)と、SGLT2阻害薬にナトリウム(Na)制限を加える「Na制限併用」群(31例)にランダム化し12週間、観察した。盲検化はされていない。またSGLT2阻害薬非服用の対照群は置かれていない。

SGLT2阻害薬の服用は朝1回とした。Na(論文ママ。「食塩」?)制限は上限を6g/日とした。また全例、過度な飲水や飲水制限はせぬよう指示を受けた。評価項目は夜間排尿である。試験開始時と12週間後に排尿日誌で評価した。

【結果】

・夜間排尿回数(1次評価項目)

夜間排尿回数は「SGLT2阻害薬」群、「Na制限併用」群とも、SGLT2阻害薬開始前に比べ開始12週間後も増加は認めなかった(「SGLT2阻害薬」群:1.5→1.3回/晩[NS]、「Na制限併用」群:1.6→1.3回/晩[P=0.049])。

・昼間排尿回数

一方、昼間の排尿回数は「SGLT2阻害薬」群で12週間後、有意に増加していた(7.9→8.3回/日)。対して「Na制限併用」群では、増加傾向にとどまった(7.0→7.4回/日[NS])。

・夜間多尿指数(夜間尿量/24時間尿量)

また夜間多尿指数(論文では"nocturia index”)は、「SGLT2阻害薬」群、「Na制限併用」群とも、SGLT2阻害薬開始前に比べ12週間後には有意低値となった(順に33.5→27.6%35.2→29.0%)。

・HbA1c

なおHbA1cは、「SGLT2阻害薬」群で12週間後に有意低下を認めた(7.4→7.1%)。一方、「Na制限併用」群では低下傾向にとどまった(7.2→7.0%P=0.09)。

【考察】

中島氏らは、本試験で用いられたSGLT2阻害薬の半減期が短いため、朝一服用で排尿タイミングが日中にシフトし、結果として夜間排尿回数を増やさなかったのではないかと考察している。SGLT2阻害薬非服用群と比較したらどうだっただろうか。

本試験は興和株式会社から資金提供を受けた。ただし試験デザイン設計、データ収集/解析、論文化の有無決定、原稿準備に提供社は一切関与していないとのことである。

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