株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

「患者申出療養」制度化に向け、関連法案を次期通常国会提出へ [医療保険制度改革]

No.4725 (2014年11月15日発行) P.9

登録日: 2014-11-15

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【概要】政府の規制改革会議が創設を提案した「患者申出療養(仮称)」が制度化される。5日の中医協総会では制度の枠組みが、7日の医療保険部会では制度の導入がそれぞれ了承された。


政府の規制改革会議の答申で制度創設が提案された「患者申出療養(仮称)」の関連法案が、次期通常国会に提出される。中医協総会(森田朗会長)は5日に会合を開き、厚労省が提示した患者申出療養の枠組みを了承。それを受け、続く7日の社保審医療保険部会(遠藤久夫部会長)では制度化が了承された。制度の具体的な運用については、法案成立後、中医協で議論することになる。早ければ16年度から制度がスタートする。
患者申出療養は、規制改革会議が3月にいわゆる混合診療の大幅拡大を目指し提案した「選択療養制度(仮称)」がきっかけとなり創設されたもの。しかし、同会議が提案した制度は医療機関や医療行為が限定されない上に安全性・有効性についても事実上事後確認とされたため、厚労省や医療界が制度のあり方を批判。軌道修正を経て、最終的に現在の保険外併用療養の評価療養で実施されている「先進医療」を拡充する制度に落ち着いた。

●保険収載を目指す治療が対象
患者申出療養の対象となる医療として、厚労省は、(1)「病期が進んだ患者」「合併症を有する患者」など先進医療の実施計画の対象外となる患者に対する療養、(2)先進医療として実施されていない国内未承認・海外承認薬の使用、(3)治験の対象外となる患者への治験薬の使用―を例示。患者申出療養は保険収載を目指すことを前提とする制度であることから、対象の医療から「明らかに疾病または負傷の治療と言えないものを除く」としている。
5日の中医協総会で中川俊男委員(日医)は厚労省の提案に対し、「患者申出療養で一番多いのは、先進医療の実施医療機関が近くにない患者に対し、先進医療で実施されている療養を行う場合」と指摘。これに対し、唐澤剛厚労省保険局長は「患者申出療養が先進医療の普及の契機になる」と中川委員の意見を支持した。

●主に臨床研究中核、特定機能病院で実施
実施までの流れについては、患者申出療養として「前例がない場合」と「前例がある場合」の2パターンを想定。先進医療で実施している治療法でも、患者申出療養として初の場合は、「前例がない場合」に該当する。実施医療機関はいずれの場合も臨床研究中核病院または特定機能病院となるが、臨床研究中核病院が承認すれば、患者に身近な医療機関でも、協力医療機関として実施が可能。安全性・有効性については、前例がない場合は国が実施の可否を申請から原則6週間で判断し、前例がある場合には、臨床研究中核病院が申請から原則2週間で判断する。
患者申出療養は先進医療と異なり「患者の申出」を起点とする。患者はかかりつけ医等の協力を得ながら、臨床研究中核病院または特定機能病院で患者申出療養の窓口機能を設置している病院に申請。かかりつけ医は患者からの相談を受けた場合、患者が安全性・有効性について理解、納得した上で申出するための支援を行うなど、重要な役割を担う。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連物件情報

もっと見る

page top