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2024年度診療報酬改定の全容が明らかに─生活習慣病管理料(Ⅱ)も療養計画書策定【まとめてみました】

No.5212 (2024年03月16日発行) P.14

登録日: 2024-03-13

最終更新日: 2024-03-13

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厚生労働省は3月5日、2024年度診療報酬改定について関係通知を一斉に発出し、これで改定の全容が明らかになった。「生活習慣病管理料(Ⅱ)」の算定要件やかかりつけ医機能の評価見直しなど、外来医療の改定のポイントについて解説する。

2024年度改定では、生活習慣病の治療や管理を評価する診療報酬で大きな見直しが行われた。「特定疾患療養管理料」の対象疾患から脂質異常症、高血圧、糖尿病の3疾患を除外。検査等の費用を包括した現行の「生活習慣病管理料」を「生活習慣病管理料(Ⅰ)」に名称変更し、検査等を包括しない「生活習慣病管理料(Ⅱ)」を新設した。

点数は、(Ⅰ)が主病が脂質異常症の場合:610点、高血圧症の場合:660点、糖尿病の場合:760点と現行から40点増。(Ⅱ)は333点とした。(Ⅱ)は、検査や注射、病理診断に加え、「外来栄養食事指導料」「糖尿病合併症管理料」「ニコチン依存症管理料」「診療情報提供料(Ⅰ)(Ⅱ)」など一部の医学管理料も出来高で併算定できる。

このほか処方料・処方箋料の「特定疾患処方管理加算」の対象疾患からも生活習慣病を除外、28日未満の処方時に算定する加算1は廃止し、28日以上の処方かリフィル処方箋を発行した場合にのみ算定可という見直しが行われた。

3月5日の通知では、生活習慣病管理料(Ⅱ)の算定要件が明示。(Ⅰ)と同様に生活習慣病の治療に係る情報についての療養計画書を策定、「丁寧な説明」を行い、患者の同意を得た上で署名を受けた場合に算定できることが示された。療養計画書については同管理料(Ⅱ)を継続して算定する月において、計画書の内容に変更がない場合は交付する必要はないが、患者や家族等から求めがあった場合や「概ね4か月に1回」以上は交付するという取扱いが示された。

生活習慣病管理料(Ⅱ)算定で減収の可能性

診療報酬改定が施行される6月1日以降、生活習慣病患者の診療を行う多くのクリニックで、これまで算定していた特定疾患療養管理料から生活習慣病管理料(Ⅱ)にシフトすることが予想される。月1回の再診における改定前後の診療報酬算定例を示したのが下表だ。

特定疾患療養管理料では外来管理加算(52点)や特定疾患処方管理加算2(68点)を併算定できたが、生活習慣病管理料(Ⅱ)では不可となる。このケースでは、現行の484点から468点と16点の減収が見込まれ、月2回特定疾患療養管理料を算定していた場合の減収幅はさらに大きくなる。2023年11月10日の中医協で厚労省が提示した資料によれば、生活習慣病管理料の算定回数は約20.3万回であるのに対し、特定疾患療養管理料の算定回数は約1165.5万回と約57倍の開きがある。日常診療で多く算定してきた点数の見直しだけに地域のかかりつけ医療機関にとって経営面で大きな影響が予想される。

かかりつけ医機能は多職種連携を評価

かかりつけ医機能の評価である「地域包括診療料」などについては、かかりつけ医と介護支援専門員(ケアマネジャー)との連携強化や認知症への対応力向上、リフィル処方・長期処方を推進する観点から算定要件の見直しが行われ、地域包括診療料と同加算がそれぞれ3点増となる。新たな施設基準としては、①介護支援専門員や相談支援員からの相談に適切に対応することが可能、②担当医が認知症に係る適切な研修を修了していることが望ましい、③担当医が「認知症初期集中支援チーム」等、市区町村が実施する認知症施策に協力している実績があること、④担当医がサービス担当者会議や地域ケア会議への参加実績があること―などが追加された。

「一般名処方加算」は3点増

処方に関する評価の見直しも行われる。リフィル処方・長期処方を推進する観点から、処方料の特定疾患処方管理加算について、28日未満の処方を行った際の「特定疾患処方管理加算1」を廃止、「同加算2」の評価を見直し、現行の66点から56点に引き下げる。同加算について、リフィル処方箋を発行した場合も算定を可能とする。

後発医薬品のさらなる使用促進に向けての評価見直しでは、一般名処方加算の加算1が10点、加算2が8点となり、それぞれ3点引き上げられる。外来後発医薬品使用体制加算も現行から3点アップし、加算1が8点、加算2が7点、加算3が5点となる。

「医療情報取得加算」診療情報活用を評価へ

医療DXについては、オンライン資格確認等システムを通じ患者情報の取得・活用を促すための見直しが行われる。オンライン資格確認により取得した診療・薬剤情報などを診療に活用できる体制を整備する評価として「医療DX推進体制整備加算」(8点)を新設する。主な施設基準は、①オンライン請求の実施、②オンライン資格確認等を行う体制、③オンライン資格確認等システムを利用して取得した診療情報を医師が診察室、手術室、処置室等で閲覧・活用できる体制、④電子処方箋発行体制、⑤電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制、⑥マイナンバーカードの健康保険証利用実績、⑦「医療DX推進体制に関する事項、質の高い診療を実施するための十分な情報を取得・活用して診療を行う」ことを自院の見やすい場所に掲示─などで、これらの事項を原則としてウェブサイトに掲載することが求められる。

このほかオンライン資格確認の体制整備などを評価した現行の「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」を「医療情報取得加算」に名称変更する。名称変更の狙いは、これまでの体制整備を評価する視点から診療情報・薬剤情報の取得や活用に係る評価へ見直すこと。「十分な情報を取得」して初診を行う場合に加算1(3点/1カ月に1回)、再診を行う場合に加算3(同1点)を算定できる。「オンライン資格確認等システムを活用して情報を取得」して初診を行う場合は加算2(3カ月に1回に限り2点)・加算4(3カ月に1回に限り1点)を算定できる。

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