中央社会保険医療協議会は12月8日、人生の最終段階における医療・ケアをテーマに議論した。今後も認知症高齢者の増加が見込まれる中、かかりつけ医が早期から意思決定支援を行う取り組みの推進などが検討課題となった。
厚生労働省によると、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った意思決定支援について、外来で指針が策定されている割合は入院よりも低いことがわかっている。特に認知症の高齢者の場合は、認知機能の低下や意思表示が困難になる場合に備えて、かかりつけ医が日常診療の中で意思決定支援を繰り返し行うことが重要とされるが、実践している医師は2割程度にとどまるのが現状。
一方、入院では高齢者の救急搬送の増加に伴い、意思決定支援に関する指針の策定が要件化されていない「急性期一般入院基本料」の届出病棟に入院する高齢者が増えている。
このため厚労省は、①認知症患者の症状が進行して意思確認が困難になる場合等に備え、かかりつけ医によるより早期からの意思決定支援の実施を推進する方策、②「急性期一般入院基本料」等も含めた入院医療における指針策定を促進する方策―などについて検討を求めた。
支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「地域包括診療料・加算」の算定要件に意思決定支援に関する指針策定を追加することを提案。すべての入院料で指針策定を要件化することも併せて求めた。診療側も意思決定支援の取り組みを進める方向性には賛成しているものの、要件化には異議を唱えた。
この日は明細書の無料発行についても議論した。この中で厚労省は、レセコンに明細書発行機能が搭載されていないなど、正当な理由がある診療所について、明細書の無料発行義務を免除する規定の廃止を提案。廃止時期については、医療DXの一環として開発中の標準型レセコンの開始時期である28年度以降を目途とする考えを示し、概ね了承された。
廃止提案の背景には、免除規定の該当診療所数の大幅な減少がある。同省によると、歯科診療所を含め、14年時点で4107施設あった該当診療所が22年度には391施設にまで減少している。