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■NEWS 高齢者の救急搬送への対応で入院の新たな類型を検討へ―中医協

No.5201 (2023年12月30日発行) P.70

登録日: 2023-12-21

最終更新日: 2023-12-21

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厚生労働省は1215日の中央社会保険医療協議会に、高齢者の救急搬送への対応で、救急患者の受け入れ体制を整備し、リハビリ、栄養管理、入退院支援、在宅復帰等を包括的に提供する入院料の類型新設を提案した。看護配置101の「急性期一般入院料26」をベースにした制度設計を想定しているとみられ、各側委員も検討に前向きな姿勢を示した。

高齢者の救急搬送にどう対応するかについて、これまでは地域包括ケア病棟への受け入れ促進や、急性期入院中のADL低下防止を目的とした急性期病棟でのリハビリ充実などが議論されてきた。

しかしその一方で、「看護配置13対1の地域包括ケア病棟で、誤嚥性肺炎や尿路感染症の救急患者を受け入れるには限界がある」「リハビリ専門職の配置が薄い急性期病棟で、リハビリ提供体制の整備を早急に進めるのは困難」「看護配置71の急性期一般入院料1以外の病棟で、高齢者救急への対応や高齢者のケアに必要な体制を備えた病棟を類型化して評価するべき」といった声も上がっていた。

このため厚労省は、その対応策として、(1)救急患者の受け入れ、(2)一定の医療資源を投入して急性期からの速やかな離脱を図る、(3)早期の退院に向け、リハビリ、栄養管理等を提供、(4)退院に向けた支援や人生の最終段階における医療・ケアに関する適切な意思決定支援、(5)早期の在宅復帰や在宅医療、介護との連携―を包括的に提供する入院料(病棟)の類型新設を提案。各側もこの方向性を概ね支持した。

■診療側は手厚い人員配置が可能になる評価の充実を要望

診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、希望する医療機関が医療の提供を止めることなく新類型に円滑に移行できるように、「診療側としても知恵を出していきたい」と表明。太田圭洋委員(日本医療法人協会副会長)は、「要介護度が高く、認知症がある高齢者のケアには非常に多くのマンパワーが必要であり、人的配置を十分賄える入院料の水準を設定する必要がある」と要望した。

支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は新類型について、「看護配置101を想定し、救急対応や早期リハビリ、栄養管理、退院支援などにしっかり対応してもらうことが重要だ」と指摘。鈴木順三委員(全日本海員組合組合長代行)は、「急性期一般入院料26に足りない機能を付け加えて包括的な病棟を作ってはどうか」と提案した。

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