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■NEWS 「地域包括診療料・加算」での認知症研修要件化に診療側が反対―中医協

No.5199 (2023年12月16日発行) P.68

登録日: 2023-12-08

最終更新日: 2023-12-08

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中央社会保険医療協議会は1129日、認知症への対応について意見交換した。厚生労働省は、かかりつけ医の認知症への対応力を強化するための方策として、「地域包括診療料・加算」で認知症に関する研修の受講を要件化することを提案したが、診療側は反対の姿勢を示した。

都道府県や指定都市では2006年から「かかりつけ医認知症対応力向上研修」が実施されており、これまでの修了医師数は延べ7万人を超える。「地域包括診療料・加算」の届出施設では64.8%が研修修了医師を配置しており、全医療機関の配置割合(30.7%)よりも高い水準にある。かかりつけ医機能に関する調査では、研修修了医師がいる施設はいない施設に比べ、「認知症に関する助言や指導」、「患者やその家族と患者の自分らしい人生の終わり方(ACP)について話し合う」などの実施や、介護との連携に取り組んでいる割合が高いことも明らかになっている。

こうした現状を踏まえ厚労省は、次期改定に向けた論点として、①診断後支援、認知症の行動・心理症状(BPSD)への対応、認知症の医療・介護に関する施策・制度、人生の最終段階における医療・ケア等の研修受講を「地域包括診療料・加算」の施設基準の要件とする、②「地域包括診療料・加算」の施設基準の介護保険制度に関する実績要件に「認知症初期集中支援チーム等の施策へ協力していること」を追加することを提案した。

研修受講の要件化について診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「地域包括診療料・加算」の届出施設の中に修了医師がいない施設が3割程度あることを指摘。「このような状況で、受講がなければ加算を認めないといきなり要件化することは実態と乖離しており、承服しかねる」と反対姿勢を示した。

入院は「看護補助加算」等における減算措置導入が論点、身体的拘束の予防で

一方、入院では、身体的拘束の予防・最小化のために、「看護補助加算」などの看護補助者の配置に関する加算等に身体的拘束を行なった場合の減算措置を導入する案が提示された。「認知症ケア加算」を参考にした仕組みを想定しており、同加算では身体的拘束を行った日に報酬額が40%減額される。この提案にも診療側は看護補助者不足に拍車がかかる可能性があると危惧し、強く反対した。

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