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肺非結核性抗酸菌症と慢性肺アスペルギルス症合併例の治療方針は?

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  • 一方,リファマイシン系薬はCYP3A4を誘導し,肺MAC症のkey drugであるマクロライド系薬の代謝が亢進するため,近年,肺MAC症の治療におけるリファンピシンの意義が注目されています。最近,マクロライドの感受性例では,マクロライド+エタンブトールの2剤療法と,そこにリファマイシン系であるリファンピシンを加えた3剤治療とでは,排菌陰性化達成率やマクロライド耐性化に有意差を認めないことが報告されています。そこで,喀痰抗酸菌塗抹検査陰性や空洞を伴わない場合にはマクロライド+エタンブトールの2剤により,喀痰抗酸菌塗抹検査陽性や空洞を伴う場合には,そこにアミノグリコシドを追加した3剤により,リファマイシン系薬を用いずに肺MAC症を治療すれば,アゾール系が使用可能になります。

    また,マクロライド系薬の薬物代謝酵素CYP3Aの阻害作用の影響を考慮する必要がある場合(イサコナゾールなど)には,クラリスロマイシンよりも阻害作用の弱いアジスロマイシンを用います。アジスロマイシンは,肺MAC症に適応はありませんが,2020年より社会保険の審査事例として保険適用下での使用が可能になりました。

    以上より,肺NTM症と肺アスペルギルス症の合併例には薬剤相互作用の影響を受けずに両者に適切な治療を行うことが可能になったと考えます。ただし,マクロライド耐性で,肺アスペルギルス症を合併している場合には,専門医への相談が望ましいです。

    【回答者】

    長谷川直樹 慶應義塾大学医学部感染症学教授

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