【質問者】
吉川 衛 東邦大学医療センター大橋病院耳鼻咽喉科教授
【食の好み,健康状態や将来の職業選択など日常生活や人生を左右しうる。鼻副鼻腔疾患を見逃さないことが大切】
COVID-19パンデミック以降,小児においてもその後遺症としての嗅覚障害,特に刺激性異嗅症の相談が増えています。
刺激性異嗅症は,たとえば食べ物のにおいが本来のにおいと同じようには感じられず,その多くが嫌なにおいとして感じてしまうため,患児の食欲を大きく減退させ,栄養面においても問題になっていると診療の現場で実感しています。また,家庭内や学校で嗅覚が話題に上るようになったことから,COVID-19関連以外でも「におわない」ことで本人が保護者に相談したり,「この子はにおいがわかっていないのでは?」と保護者が心配したりして受診されるケースも増えています。
小児のみならず「実は嗅覚障害が昔からあった」と幼少期からの悩みを抱えて来院する成人患者もいます。嗅覚検査は健康診断で行われないので,障害があっても調べる機会がなく,本人が言わなければ気づかれにくいため,長期間放置されていることも多いです。
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