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■NEWS 次期医療経済実態調査に関する本格的議論を開始-中医協調査実施小委

No.5141 (2022年11月05日発行) P.70

登録日: 2022-10-28

最終更新日: 2022-10-28

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中央社会保険医療協議会調査実施小委員会は10月26日、次回の医療経済実態調査の設計について、本格的な議論を開始した。厚生労働省はこの中で、物価高騰の影響を把握できるように委託費や経費の内訳に関する調査項目を追加することや、対象施設の抽出率を引き上げて分析結果の信頼性を高めることなどを論点として提示。概ね了承された。

厚労省が検討課題として提示したのは、①単月調査の実施、②調査項目の簡素化、③新型コロナウイルス感染症の影響の把握、④看護の処遇改善による効果の把握、⑤委託費や経費の把握、⑥有効回答率の向上―など。

医療経済実態調査は通常、直近2事業年度分の損益状況を調べるが、新型コロナの影響が大きかった時期と重なった前回調査では、可能な限り直近のデータを得る狙いから単月調査を追加実施した。①では、この単月調査の有効回答率が通常の事業年度調査よりも低かったことや、事業年度調査に比べて季節や個別の要因の影響を受けやすい点などを踏まえ、次回も実施することの是非を小委で議論するよう求めた。

■物価上昇の影響を把握できるよう委託費・経費の内訳項目の追加を検討  

②では、有効回答率の向上につなげる観点からも相対的に必要性の低い調査項目を整理する考えを打ち出した。ただし、調査項目そのものを削除すると調査の継続性が損なわれかねないため、調査項目の内訳を簡素化する案を示した。⑤は昨今の物価上昇や光熱水費の値上げなどの影響を把握できるよう、委託費や経費の内訳を必要に応じて調査項目に追加することを提案した。

⑥では有効回答率が低く、診療所の主たる診療科別の分析などでは極端にサンプル数が少なくなる現行調査に対して、統計学的な信頼性を疑問視する声があった。改善策として厚労省は、対象施設の抽出率を引き上げ、客体数の増加を図ることを検討課題に位置づけた。

単月調査について実施に積極的な意見は聞かれず、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「季節変動の影響などもあり、今回は行わない代わりに抽出率を高める提案がされたと理解している」などと発言。一方、委託費・経費の内訳については光熱水費や給食費などの把握を求める声が上がった。

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