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大動脈縮窄症[私の治療]

No.5119 (2022年06月04日発行) P.44

市川 肇 (国立循環器病研究センター病院小児心臓外科部長)

登録日: 2022-06-05

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  • 大動脈弓の遠位,下行大動脈の上部に狭窄がある状態で,ほとんどが先天性であり全出生の0.06~0.08%に発生する。原因は動脈管組織が大動脈に迷入しているために生直後より(動脈管が閉鎖するのと同じメカニズムで)縮窄が引き起こされるが,しばしば他の左心系低形成の疾患に伴って発生する。動脈管開存を伴うものと伴わないもので病態が異なる。また,成人期に発見されるものも稀に認められる。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    新生児期に動脈管開存のあるものでは,下半身のみにチアノーゼ(differential cyanosis)が認められる。動脈管依存性に下半身血流が保たれている場合は,生後数時間で動脈管閉鎖とともにアシドーシス,無尿,ショック状態となるため,緊急の処置が必要となる。

    【検査所見】

    胸部全域に連続性雑音を聴取するが,ショック状態に陥った場合には雑音は小さくなる。心エコーにて大動脈弓の径と血流速度を確認する。動脈管が開存しているかどうか,腹部大動脈での血流ドップラーと引き込み血流を確認する。動脈血ガス分析でアシドーシスの有無を確認する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    動脈管が閉鎖してショック状態になっている場合は,すぐに挿管人工呼吸と持続プロスタグランジンE1製剤の持続点滴を開始する。電解質,血液ガスの補正を行い強心薬,利尿薬を投与して小児心臓外科医に手術を依頼する。

    【治療上の一般的注意&禁忌】

    プロスタグランジンの量,酸素投与について,心室中隔欠損(VSD)のある場合,特に酸素投与で肺血流過多からショックになりやすいので注意を要する。

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