お知らせ
がまん弱さ ［なかのとおるのええ加減でいきまっせ！（113）］
No.4818 (2016年08月27日発行) P.72
仲野 徹 （大阪大学病理学教授）
登録日： 2016-09-16
最終更新日： 2017-01-20
- コーナー： エッセイ
- なかのとおるのええ加減でいきまっせ！
千林商店街という、大阪ではちょいと名の知れた商店街の近くに住んでいる。枕詞に「ダイエー発祥の地」と付く、かつては「日本一物価が安い」とまで言われて賑わったアーケード付きの商店街であるが、最近は人出も減り気味で、シャッターが閉まったままのお店もちらほら出てきた。
そんな商店街であるが、とある日曜日、見たことがないほどの人であふれかえっていた。それもスマホを見ながらゾンビのように歩く大人たちで。なんでも、客寄せにポケモン取り放題を企画したらしい。いやぁ、ポケモンGOの威力はすごすぎる。
と書いてはいるが、ポケモンGOというのがいかなるものかは全くわかってない。だからなんとなく気色悪い。面白いから試してみたらどうかと勧められたけれど、そんな勇気はない。理由は我慢弱さだ。
娘が小さかった頃、ファミコンをねだられた。「わかった、買ってやってもいい。ただし、お父さんはゲームが好きなので、買ったが最後、やり続けて仕事に行かなくなる。それでもいいか」と言ったらあきらめた。聞き分けのいい子だった。
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