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【一週一話】周術期呼吸リハビリテーションの重要性

No.4763 (2015年08月08日発行) P.49

菅 俊光 (関西医科大学附属滝井病院リハビリテーション科病院教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-14

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  • 最近では高齢者に対する手術だけでなく,慢性疾患を合併する患者や,さらには複数の疾患を合併する患者に手術を行う機会が増加している。

    周術期には,臓器の虚血や再灌流,感染,疼痛,組織損傷,出血などの侵襲から回復するために,呼吸,循環,代謝,内分泌,免疫など,多くの機能を適切にコントロールする必要がある1)

    周術期の呼吸リハビリテーション(以下,呼吸リハ)の目的は,無気肺・肺炎などの術後呼吸器合併症を引き起こさないように,術前後の呼吸状態を良好に保ち,早期離床・早期退院をめざすことである。医療費が増加しているわが国では,術後合併症を併発することなく退院させることは,非常に重要な課題である2)

    早期の坐位やポータブルトイレへの移乗などで早期離床を促し,歩行につなげることは,呼吸機能にとって大変重要なことで,換気血流比の改善,分泌物の移動の促進,組織酸素拡散の増加などの効果がある。

    また早期離床は,呼吸機能だけでなく心機能を向上させ,末梢循環が改善するほか,脳血流の改善が刺激の増加を促し,意欲の増大や精神活動も向上させる。

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