監修: | 武藤芳照(東京健康リハビリテーション総合研究所 所長/東京大学名誉教授) |
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編集: | 山本義春(東京大学大学院教育学研究科身体教育学 教授) |
編集: | 野崎大地(東京大学大学院教育学研究科身体教育学 教授) |
編集: | 東郷史治(東京大学大学院教育学研究科身体教育学 教授) |
編集: | 石橋恭之(弘前大学大学院医学研究科整形外科 教授) |
編集: | 安保雅博(東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座 教授 ) |
編集: | 津下一代(女子栄養大学 教授) |
編集: | 鈴木 紅(東京都立墨東病院 副院長) |
判型: | B5判 |
頁数: | 494頁 |
装丁: | 2色部分カラー |
発行日: | 2025年03月27日 |
ISBN: | 978-4-7849-6033-0 |
版数: | 改題改訂第1版 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
診療科: | リハビリテーション科 | リハビリテーション科 |
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第1章 運動療法の科学的基礎と現代社会における課題 山本義春/野崎大地/東郷史治
1 運動療法に役立つスポーツ科学の要点
❶ 筋・骨格系の構造と機能 平島雅也
❷身体運動を制御する神経系の構造と機能 野崎大地
❸有酸素運動の生理学的基礎 高橋哲也
❹体力・運動能力の測定・評価 東郷史治
❺有酸素トレーニングの基礎と実践 東郷史治
❻筋力増強運動(筋力トレーニング)の基礎と実践 地神裕史
❼運動学習の基礎と実践 野崎大地
❽関節可動域運動と伸張運動(ストレッチング)の基礎と臨床 木村貞治
2 運動療法の基本原則 鎌田真光,武藤芳照
3 子どもの身体活動の現状と課題 田中千晶,渡辺哲司
4「 パラリンピック・ブレイン」からみた障害児・障害者における運動と脳の可塑性 中澤公孝
5 中高年の体力・運動能力,身体活動の現状と身体活動の生理学的・社会的意義
岡田真平,北湯口 純
6 情報化社会における運動と睡眠 岸 哲史
第2章 スポーツ外傷・スポーツ障害および運動器疾患・障害の治療・リハビリテーションとしての運動療法 石橋恭之
1 成長期のスポーツ外傷・スポーツ障害
【上肢】
❶リトルリーグ肩 古島弘三
❷野球肘 古島弘三
【下肢】
❶Osgood-Schlatter病 中瀬順介
❷離断性骨軟骨炎 中瀬順介
❸円板状半月 中瀬順介
【脊椎】
❶腰椎疲労骨折・腰椎分離症 藤谷順三,西良浩一
❷脊柱側弯症 長江将輝
2 アスリートのスポーツ外傷・スポーツ障害
【上肢】
❶投球障害肩(オーバーヘッドスポーツ) 古屋貫治,西中直也
❷内側型野球肘 古屋貫治,西中直也
❸反復性肩関節脱臼 古屋貫治,西中直也
❹胸郭出口症候群(TOS) 古屋貫治,西中直也
【下肢(股関節)】
❶FAI, 関節唇損傷 高平尚伸
❷鼡径部痛症候群(グロインペイン症候群) 高平尚伸
【下肢(膝関節)】
❶ジャンパー膝 木村由佳
❷前十字靱帯損傷 木村由佳
❸半月板損傷 木村由佳
❹シンスプリント 木村由佳
【脊椎】
❶腰痛症 金岡恒治,森戸剛史
3 中高齢者のスポーツ障害
【上肢】
❶腱板断裂 三幡輝久,竹田 敦,牧野康一
❷肩関節周囲炎(五十肩) 三幡輝久,竹田 敦,牧野康一
【下肢】
❶変形性股関節症 新井祐志,中川周士,藤井雄太
❷変形性膝関節症 新井祐志,中川周士,藤井雄太
❸アキレス腱症 宮本拓馬,田中康仁
❹外反母趾 上野優樹,田中康仁
【脊椎】
❶骨粗鬆症 工藤大輔,宮腰尚久
❷変形性脊椎症・腰部脊柱管狭窄症 工藤大輔,宮腰尚久
第3章 リハビリテーション医療における運動療法 安保雅博
1 リハビリテーション医学・医療 安保雅博
2 リハビリテーション医療における運動療法の位置づけ─ 運動療法と物理療法,作業療法 中山恭秀
3 疾患別運動療法 ─主に入院期の運動療法
❶脳血管疾患 ─ 片麻痺・麻痺の重症度別 新見昌央
❷脳外傷 ─ 高次脳機能障害 渡邉 修
❸脊髄損傷 中村 健
❹パーキンソン病 和田直樹
❺大腿骨頚部・転子部骨折術後 馬庭壯吉
❻人工関節置換術後(股関節・膝関節)周術期リハプログラム 井上敦夫,新井祐志
❼心大血管疾患(急性心筋梗塞・急性大動脈解離) 西山一成,西村行秀
❽慢性呼吸器疾患 佐々木信幸
❾発達障害(運動発達遅滞) 上出杏里
❿がん 百崎 良
⓫関節リウマチ 佐浦隆一
第4章 健康スポーツ医学における運動療法 津下一代/鈴木 紅
1 疾病予防の各段階における運動療法の進め方と実際
❶一次予防:健康日本21(第三次)をふまえて 井上 茂,天笠志保
❷二次予防:慢性疾患やリスク保有者に対する運動療法 小熊祐子
❸三次予防:急性疾患罹患者における運動療法(急性期→慢性期へ) 黒木識敬,鈴木 紅
2 よくある疾患別・対象別の運動療法の実際
❶肥満症(高度肥満症を含む) 越坂理也
❷糖尿病 ─ 1型・2型,合併症の対応を含めて 髙木恵理,加賀英義,田村好史
❸高血圧症 横山美帆
❹慢性心不全 横山美帆
❺慢性腎臓病(CKD) 上月正博
❻COPD 黒澤 一
❼精神疾患 ─ うつ病など 橋口 知
❽婦人科疾患 宮本由記
❾小児気管支喘息 辻 百衣璃,手塚純一郎
❿小児肥満 原 光彦
⓫転倒予防 北湯口 純,岡田真平
第5章 運動療法の安全体制 武藤芳照
1 運動・運動療法に伴う事故の実例と発生要因 田中和美,武藤芳照
2 運動中・運動療法中の突然死の実態と予防・対策 黒木識敬,鈴木 紅
3 重大事故の法律的論点と管理運営側の責任 望月浩一郎
4 運動療法のリスク管理 ─ 安全体制の設備 佐藤公治,小林和克
巻末資料
索 引
日本医事新報社の書籍『運動療法ガイド』シリーズは,1990年に第1版が発刊された。
表紙には, 若い男子大学生の筋骨たくましい裸の上半身がモノクロ写真で写し出され,きわめて印象的なデザインであった。その後,下の表に示すように,1994年に第2版,2000年に第3版,2006年に第4版,そして2012年に第5版を重ね,実に35年余りの歴史を有する健康づくりのための運動療法の理論・実践書として,全国の医療機関や大学,専門学校等で,幅広く活用されてきた。
初版には,サブタイトルとして,「正しい運動処方を求めて」という言葉が付記されていた。当時,運動の身体の各器官の応答を基礎理論として,様々な疾患・障害にいかに運動を処方して,治療効果・健康増進に応用するかが主要な目標であったことを示している。
そして時代は歩み,身体運動に関わる基礎研究は進化しかつ深化し,運動療法の応用範囲は広がり,臨床医学の信頼できる実践経験が蓄積され,各種疾患・障害のリハビリテーションの新しい運動療法の理論と実践が確かに定着しつつある。少子化と高齢化がいっそう進む日本社会において,一人一人の健康づくりのための運動・身体活動への視座はきわめて重要である。そこで,本書では,まず『新』の冠を付すこととした。
映画『シン・ゴジラ』(庵野秀明監督,2016年公開)の大ヒットにより,「シン」の冠言葉が流行し,本書でもと思わないではなかったが,これまでの本書シリーズの歴史を基盤に新たな企画と編集者,構成で制作した意義を明確にするため,最終的に『新』とした。しかし,その中には,「信頼,進化,深化」などの意味とともに,一人一人の患者さんの心理を大切にし,親切丁寧に指導・助言するという「シン」の姿勢をも含めている。
そして,本書のキャッチコピーは,「少子高齢社会の健康づくりのため,20年残り続ける必携ガイド」(これからの時代の運動療法を理解するために必携の書)とし,7名の各分野の第一人者である編集者に,下記のような配置で,担当章の責任編集をお願いした。
第1章 運動療法の科学的基礎と現代社会における課題:編集担当/山本義春,野崎大地,東郷史治
第2章 スポーツ外傷・スポーツ障害および運動器疾患・障害の治療・リハビリテーションとしての運動療法:編集担当/石橋恭之
第3章 リハビリテーション医療における運動療法:編集担当/安保雅博
第4章 健康スポーツ医学における運動療法:編集担当/津下一代,鈴木 紅
第5章 運動療法の安全体制:編集担当/武藤芳照
各編集委員が,きわめて多忙な時期にもかかわらず,編集委員会を重ねた上で,迅速丁寧に編集・構成をしていただいたおかげで,順調に制作作業が進んだ。また66名もの執筆者の皆様にも,限られた時間内に指定の項目につき,分かりやすくかつ新規の知見も多く取り入れて,面白く役立つ記述に徹していただき,まさしく『ガイド』にふさわしい内容と表現にまとまったと自負している。
膨大な制作作業を緻密かつ合理的に推進し,計画通りに円滑に本書を仕上げていただいた日本医事新報社書籍課の横尾直享氏に,感謝する。
本書が,運動療法の医療現場,教育機関,健康関連施設やスポーツ施設等で,大いに活用され,一人一人の健康保持増進に役立つことを切に願っている。
なお,本書の初版の編著者の一人,宮下充正東京大学名誉教授は,この1月3日に逝去された(享年88歳)。身体運動科学・身体教育学の分野に多大な功績を残され,数多くの門下生を育成された教育研究者であった。本書の完成を見ずに旅立たれたのは,誠に無念の極みであるが,本書が社会に生き続ける限り,故人の学術の生命は継承されるものと信じている。
2025(令和7)年1月22日
東京健康リハビリテーション総合研究所所長
東京大学名誉教授
武藤芳照
下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。