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【一週一話】ボタン型電池の誤飲はどのような危険を及ぼすか?

No.4728 (2014年12月06日発行) P.57

太田 凡 (京都府立医科大学救急医療学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-16

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  • ボタン型電池の誤飲による傷害は,米国では毎年3500件が届けられ,これまでに35件に及ぶ死亡例が報告されている。ボタン型電池はおもちゃ,時計,ミニライト,リモコン,体温計など,子どもが手に取りやすい様々な日用品に使われている。何でも口に入れようとする子どもにとって誤飲の危険性が高く,その予防が大切である。

    ボタン型電池を誤飲すると,食道潰瘍,気管食道瘻,食道穿孔,胃潰瘍,胃穿孔などを生じる危険性が高く,時に死亡に至る。その機序としては,停滞部位での放電による影響が最も大きい。その理由は,新品のボタン型電池のほうが損傷の比率が有意に高いこと,消化管粘膜損傷はボタン型電池のマイナス電極側に強く生じていること,消化管穿孔などの重篤な合併症や死亡例は最近多用されているリチウム(Li)電池に多いこと〔Li電池は高電圧(3V)で,電池の寿命が切れるまで電圧を維持する〕,Li電池では誤飲後30分~1時間で消化管粘膜傷害を認めた症例が報告されており,この時間では密閉容器の損傷や圧迫壊死を生じるには不十分であること,などが挙げられる。

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