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最後の「ヘウレーカ!」[なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(344)]

No.5055 (2021年03月13日発行) P.66

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2021-03-10

最終更新日: 2021-03-09

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NHK Eテレ「又吉直樹のヘウレーカ!」、何と6度目の登場です。これだけお呼びがかかったんだから、きっと出演が好評だったんでしょうな。自分でもなんだか「使われ勝手」がよさそうな気がしてたし。ただ、今年度で終了なので、これが最後であります。

初めて出演したのは、「“お前はもう死んでいる”ってホント?」というタイトルで病理学の話。2回目は「かけっこが速いのは親譲り?」で、遺伝とエピジェネティクス。直近は「ヘウレーカ流新型コロナウイルス 正しく怖がる!」でのリモート出演だった。

昨年、一昨年の年度末は2年続けての「この“なぜ”はほっとけない!?」というスペシャル版。平成ノブシコブシの吉村崇さんと3人でのロケバス取材が楽しかった。
今回は「この『なぜ』は止まらない! ボクも100歳まで生きられますか?」で長寿について。テーマにちなんで北鎌倉にある長寿寺での撮影だった。3人の若手研究者ゲストはリモートによるご出演で、又吉さんと私が本堂でディスプレイ越しにお話をした。

1人目は、ハダカデバネズミの研究をしておられる熊本大学の三浦恭子さん。その名のとおり毛が無くて出っ歯なのだが、なんともいえない面妖な容姿以上に、ものすごく長寿なのが不思議なネズミである。

その長生きのメカニズムがわかれば人間にも応用できるかもしれない、と期待がもたれている。哺乳類にしては珍しくミツバチのような社会生活を営んでいるとかいうのも実にユニークだ。生き物が苦手な又吉さんはちょっと嫌がったはりましたけど。

2人目は東京医科歯科大学の武部貴則さん。ヒトiPS細胞を用いたミニ肝臓の作成などで赫々たる成果をあげてきた再生医学の若手研究者である。てっきりその研究を活かした寿命延長の話かと思っていたら、なんとメタボ対策の新兵器について。いやぁ、優秀。さすがに発想がフレキシブルである。

ラストは、新書大賞に輝いた『人新世の「資本論」』がベストセラーになっている若きマルクス研究者、大阪市大の斎藤幸平さん。たとえ長生きできたとしても、世の中が住みにくくなっていたら嬉しくない。そうならないようにはどうすればいいか、又吉さんとのドライブがかかったトークが最高だ。

6回のうちで今回がいちばん楽しかった。騙されたと思って、みなさんもぜひご覧ください。絶対に損はさせません!

なかののつぶやき
「又吉さんとのツーショット。撮影の合間に又吉さんといろいろしょうもないお話をできたのも楽しかったです。しかし、こうやって見るとすっかり老教授ですな。番組は3月17日(水)午後10時からの放映です。よろしく!」

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