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ポストコロナ時代の学術集会[炉辺閑話]

No.5045 (2021年01月02日発行) P.44

森﨑 浩 (慶應義塾大学医学部麻酔学教授(日本麻酔科学会第67回学術集会会長))

登録日: 2020-12-31

最終更新日: 2020-12-21

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昨年開催予定であった主要な学術集会は、新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延によりことごとく開催延期・中止あるいは様式の変更を余儀なくされました。小職が大会長を務めました日本麻酔科学会第67回学術集会は、3月末に6月4日~6日神戸市開催を急遽中止し、主に録画配信による様式と会期を7月1日~8月31日に変更の上で開催致しました。本学術集会会長に選任された2017年11月から、「2020年は東京オリンピック・パラリンピック開催年であり、開会式が近づく6月ともなれば相応の高揚感で日本中が満ち溢れている」ことを勝手に想像しながら準備を進めていましたが、昨年は「まさに世の中一寸先は闇で何が起きるか判らず、現実とはかくも厳しいもの」と再認識するとともに、「皆の知恵を結集し人事を尽くせば、新たな視点を見出せる」ことを改めて学ぶ年となりました。

3月11日のWHOパンデミック宣言や同月19日の「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の状況分析と提言」を受け、国民の健康を護る医師の1万人規模の移動と三密を厳格に避けることが困難な現地開催を断念し、同月末にオンライン対応可能な企画や会期を見直しました。当時は、録画収録や一定の制御下の配信手段等に関する情報が十分ではなく、海外講演を含めどの程度の収録と配信が可能か? どの程度の参加者が見込めるか? 常に不安が付きまといました。しかし、事務局をはじめ学会関係者が総力を挙げて対処頂いた結果、会員参加者はほぼ例年並みの9000名となり、配信した企画の総再生回数は10万回を超え、内容についても想定以上の高い評価を得る結果となりました。また、棋士羽生善治九段による特別講演は7400超の方々が聴講されるなど、現地開催では収容不可能な規模の企画も、オンライン学術集会で実現可能となったことは大きな収穫でもあります。

新年を迎え、ポストコロナ時代にはさらにヒトの知恵を結集し、持ちうる技術を駆使して、より充実した新たな様式の学術集会が数多く開催されるものと確信しています。

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