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新型コロナウイルス対策を経験して[炉辺閑話]

No.5045 (2021年01月02日発行) P.41

阪上雅史 (兵庫医科大学病院病院長)

登録日: 2020-12-31

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兵庫医大病院は感染症指定病院でも公的な病院でもありませんが、阪神地区の基幹病院として、COVID-19の重症例を中心として受け入れました。2月20日から9月9日の間に、救命救急病棟には確実例16例・疑い例33例の計49例、一般病棟には確実例2例・疑い例111例の計113例が入院、感染症外来に427例受診、PCR実施339例うち陽性11例(3.2%)、残念ながら5名の方が亡くなられました。

県対策本部や県医師会、保健所との連絡など山のようにすることがありましたが、その中でも、刻々と変わるCOVID-19の感染状況を周知して、全職員一丸となって(one team)対処する雰囲気を醸成しました。次に重要であったのは、感染に対する恐怖や職員の疲弊からモチベーションの低下を防ぐことでした。

サーモカメラを購入して患者を検温し、職員だけでなく患者さんの安心感にも繋がりました。PPEに関しては、物流センターを中心として可能な限り供給先を当たり、何とか供給を切らさずに済みました。そして、職員の不安を取り除きモチベーションを上げるのに最も貢献したのは、パルス方式キセノン紫外線照射ロボットで、感染の危険のある手作業のアルコール拭きから解放されました。

この原稿を書いている9月23日現在、院内感染は幸い起こっておりません。この誌面を借りまして全職員に感謝申し上げます。今から思えば、私は感染の専門家でもなくICUなどのユニット系とは無縁な耳鼻咽喉科医ですので、感染制御部や救命救急部をはじめ職員が仕事をしやすい環境を整えることに力を注いだのが良かったのかもしれません。

「with/afterコロナ」時代にはテレワークや遠隔医療がより普及していきますので、我々も変わっていかねばなりません。「この世に生き残るものは、最も大きく強いものでもなく、世の中の変化に対応できるもの」というダーウィンの教訓から、コロナ時代に適応することが生き残るための方策と考えます。

最後になりましたが、皆様の本年のご多幸とご活躍をお祈り申し上げます。

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