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北海道の地から学ぶ「家庭医のフェローシップ」[炉辺閑話]

No.5045 (2021年01月02日発行) P.27

黒木史仁 (まどかファミリークリニック)

登録日: 2020-12-30

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私の勤務するクリニックは福岡県南部に位置し、家庭医療専門医が数名在籍しています。当院は、慢性疾患の定期診察や予防接種以外にも、乳幼児から高齢の方まで健康に関する相談を外来で受け、自宅・施設で様々な疾患・障害を抱えて生活している方の訪問診療を行っています。スタッフ一丸で、地域住民が健康に関する「困りごと」を気軽に相談できるクリニックをめざしています。

当院は、北海道家庭医療学センターと連携しており、家庭医療専門研修の修了生は家庭医のフェローシッププログラムを受講できます。これは、家庭医療学、経営、医学教育、臨床研究の4領域を、2年間で学ぶことができるプログラムです。私はクリニック入職と同時に、家庭医フェローとなりました。毎週3時間、指導医・講師のファシリテートのもと、北海道、滋賀県にいるフェローと一緒に、この4領域を学んでいます。内容は、理論に関するレクチャーのこともあれば、フェロー同士の、実践の報告・対話のこともあります。こうしたグループ学習と現場の実践を往復することで、さらに学びを深めています。そして毎月、現場指導医らと事例を通した振り返りを行い、多角的な視点・価値観を学ぶことができます。

フェローシップ開始当初、その土地に住んで、地域に根ざした医療を行い、家庭医療専門医としてさらに実力をつけたいという気持ちがありました。今ではそれに加えて、院長やクリニックを支えるフォロワーになることや、地域医療・家庭医療を志す学生・医師を教育する教育責任者になることを意識しています。

この2年間は、フェローでの事前課題・(現場での実践という)事後課題に追われている日々でしたが、同時に、働きながら学ぶという側面で、これまでの医師人生の中で一番充実していた時間でした。
フェローを終えても、医師の生涯教育は続きます。今後も、クリニックの家庭医療、医学教育、経営などについてさらに能力の向上をめざし、1人の人間として、医師として、ますます磨きをかけていきます。

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