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■NEWS 【欧州糖尿病学会(EASD)】2型糖尿病の成因により死亡リスクが異なる可能性:長期間観察研究

登録日: 2020-09-30

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2型糖尿病(DM)の成因としては、よく知られているように、「β細胞機能の低下に伴うインスリン分泌低下」と「インスリン抵抗性増大」がある。今回の欧州糖尿病学会(EASD)では、同じ2型DMでも、成因により長期の死亡リスクが異なる可能性が示唆された。スウェーデンにおける前向き観察試験の結果である。Julia Otten氏(ウメオ大学、スウェーデン)が報告した。

解析対象となったのは、2型糖尿病と診断された864例である。2型糖尿病と診断された年齢(中央値)はいずれも60歳、男性の占める割合はおよそ6割だった。

これらをOtten氏らは、観察開始時「HOMA-S>中央値」で「インスリン抵抗性弱」、「HOMA-β<中央値」ならば「β細胞機能低下」と定義し、4群に分けた。

その結果、「抵抗性・弱/β機能・減」(インスリン分泌低下DM)群が31.5%、「抵抗性・強/β機能・維持」(インスリン抵抗性増大DM)群も31.5%、「抵抗性・強/β機能・減」群は18.4%、「抵抗性・弱/β機能・維持」群が18.6%という分布となった。  

その上で15年間(中央値)観察中の死亡リスクを比較したところ、「インスリン分泌低下DM」群に比べ、「インスリン抵抗性増大DM」群では、死亡ハザード比(HR)が1.58(95%信頼区間[CI]:1.06-2.36)の有意高値となっていた。性別や2型DM診断年齢、高血圧、総コレステロール、BMIなどを補正後の数字である。また空腹時血中Cペプチド濃度と死亡リスクの間にも、有意な正相関が認められた。Cペプチド濃度は、がん死リスクとも正相関していた。

なお、「抵抗性・強/β機能・減」DM群、「抵抗性・弱/β機能・維持」DM群のいずれも、死亡リスクは、「インスリン分泌低下DM」群に比べ有意に高くなっていた(順にHR:1.85、95%CI:1.20−2.84、1.53、1.01−2.34)。

死因別に検討してみると、がん死、心血管系死亡とも「インスリン抵抗性増大DM」群で、「インスリン分泌低下DM」群に比べ高値となっていたが、上記諸因子補正後は有意差には至らなかった。

Otten氏はこの結果から、「2型DM診断時のインスリン抵抗性は死亡の独立したリスクだが、β細胞機能低下はそうではない」と結論していた。

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