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【私の一曲】『ローランドの悲しい目の乙女(Sad Eyed Lady of the Lowlands)』

No.4721 (2014年10月18日発行) P.78

市田 聡 (心臓病看護教育研究会代表・医学博士/音楽家)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-23

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  • “Blonde on Blonde”はもともと2枚組のアルバムであるが、日本では1967年3月に『ブロンド・オン・ブロンド/ボブ・ディラン第6集』(Bob Dylan ! Vol.6)という1枚のLP盤として発売された。今は既に廃盤となっている(CBS/日本コロンビア YS-748-C)〔写真筆者提供〕

    詩の持つ表現力は、時に長編小説をも超える

    私は、そのタイトルにまず惹かれた。私が14歳(1967年)の時に発売された“Blonde on Blonde”というボブ・ディランのLPレコードに収められていた曲である。何よりも驚かされたのは、LPのB面はこの1曲のみであったことである。時間にして10分を超える、それも比較的単調なペースの曲であったものの、強く惹かれる魅力があった。

    当時、中学生であった私には、歌詞の意味はわからなかった。しかし、誠実に、あるいは切実に訴えている愛情のような何かを強く感じていた。

    ボブ・ディランの詩は難解で、時には詩の意味がわからないというような評論もあった。だが私は、詩には解釈など必要ではなく、むしろ、どのように受け止めるか、感じるか、また受けた感覚を適切な言葉にして表せなくとも何か強い印象が心に残る、それが芸術性ではないかと理解していた。

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