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免疫性血小板減少性紫斑病(小児)[私の治療]

No.5031 (2020年09月26日発行) P.49

瓜生久美子 (東京大学医学部附属病院小児科)

登録日: 2020-09-29

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  • 免疫性血小板減少性紫斑病(immune thrombocytopenic purpura:ITP)は,血小板に対する自己抗体により血小板減少・紫斑を呈する疾患である。特発性血小板減少症,免疫性血小板減少症などとも呼ばれ,疾患名が混在している。小児においては,感染症やワクチン接種を契機に発症し,急性の経過で自然治癒するものが多い。軽症では経過観察も可能であるが,鼻出血,口腔内出血,血尿などの粘膜出血(wet purpura)を伴う場合には入院・加療を要する。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    紫斑(点状出血あるいは斑状出血),鼻出血,口腔内出血,下血,血尿,月経過多など。鼻出血などの粘膜出血は,重篤と考える。

    【検査所見】

    末梢血検査所見は血小板減少(10万/μL以下)のみで,赤血球および白血球は数,形態ともに正常である。ただし,多量の出血に伴い鉄欠乏性貧血を呈することがある。網状血小板の増加を認めれば,血小板造血の亢進が示唆され,造血不全の可能性は低くなる。典型例における骨髄検査は近年必須とされないが,赤血球系や白血球系に量的・質的な異常を認め,ITPの診断が疑わしいとき,ステロイド投与を考慮するとき,治療が無効なときには実施する。二次的に血小板減少をきたしうる疾患(白血病,骨髄異形成症候群,SLE,抗リン脂質抗体症候群,血栓性血小板減少性紫斑病,血球貪食症候群,溶血性尿毒症症候群,DIC,重症感染症,先天性血小板減少症など)の除外が必要である。

    【病型】

    推定発病または診断から6カ月以内に治癒した場合は急性型,6カ月以上血小板減少が遷延する場合は慢性型とされるが,明確な区分は困難である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    小児ITPは予後良好であり,約8割は無治療でも6カ月以内に自然軽快し,消化管出血,血尿,頭蓋内出血などの重大な出血をきたすことは少ない。しかし,小児という特性上,発症時の血小板値,出血の程度,年齢,運動量,治療の有益性・無益性のバランスを考慮して初期治療を選択する必要があるため,小児血液専門施設との連携が推奨される。当初の治療選択肢としては,無治療経過観察,免疫グロブリン製剤大量静注療法,副腎皮質ステロイド投与が挙げられる。生命を脅かす重症出血に対しては血小板輸血も併用する。慢性経過の多い成人ITPと違い,脾臓摘出術(脾摘)を選択することは小児においては少ない。

    近年,上記の薬物治療に抵抗性を示す難治性ITPに対しては,リツキサン®(抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブ),ロミプロスチムおよびエルトロンボパグ〔トロンボポエチン受容体作動薬(TPO-R作動薬)〕も適応となったが,かかる段階においては専門施設への紹介が望ましい。

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