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現金受け渡しのないセミセルフレジは“withコロナ期”のクリニックで感染防止の有用なツールとなる[クリニックアップグレード計画 〈システム編〉(22)]

No.5026 (2020年08月22日発行) P.14

登録日: 2020-08-24

最終更新日: 2020-08-24

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新型コロナウイルス感染拡大による医療機関の経営環境の悪化が社会問題化している。この危機を乗り切るカギとなるのが、患者の利便性向上とスタッフの負担軽減につながる院内システムのデジタル化だ。ICTの活用は効率化に加え、人や物の物理的接触を抑え、感染防止効果も期待できる。連載第22回は、2019年の開業時に導入したセミセルフレジシステムが、コロナ禍での患者やスタッフの不安軽減につながった事例を紹介する。

新型コロナウイルスの感染拡大により、患者の意識は大きく変化し、医療機関には患者・医療従事者双方の感染リスクを低減させる取り組みが求められるようになった。こうした状況を受け、厚生労働省は4月に“オンライン診療”の初診を容認する事務連絡を発出、同省ホームページでオンライン診療に対応する医療機関を公表している。

感染リスク回避の観点から、患者の受療行動に各医療機関のデジタル化の状況が影響する可能性が強まり、Web予約やWeb問診のシステム、自動精算機、キャッシュレス決済サービス、オンライン診療システムなどの導入を検討する医療機関が増えている。デジタル化が特に遅れているとされる医療業界にとっても、コロナ禍をきっかけに一定程度のICTの活用が必須となりつつある。

受付のレジ締め作業の負担を軽減

感染拡大以前から積極的に院内のデジタル化に取り組んでいた医療機関の中には、緊急事態宣言の解除後、早い段階で外来患者数が以前の水準近くにまで戻っているケースがある。その事例の1つが、東京・月島にある月島シーサイドクリニックだ。

同院は、大学病院などの消化器科を中心に25年以上のキャリアを積んできた内視鏡のスペシャリストの保阪政樹院長が、「地域の方に『敷居は低く、質は高い』医療を提供したい」という思いで、2019年10月に開業。上部・下部内視鏡検査が可能で、人間ドックにも対応できる設備が揃っている。

周辺にタワーマンションが立ち並ぶ立地のため、現役世代の多忙な患者でも通院しやすいようにと、開業時からWeb予約やオンライン診療などICTを活用している。中でも保阪院長がコロナ禍で有用性を実感しているのは、電子カルテ・レセコン連動のセミセルフレジシステムだ。診察を終えた患者の会計情報をモニターに表示して、精算は患者自身が現金やクレジットカード、電子マネーで行うシステムのため、患者と受付が現金やカードの受け渡しをせずに済む。

「月島は若いファミリー世代が増えている街です。東京五輪の選手村の晴海に近いことから外国人の方の受診も想定し、開業時からクレジットや電子マネーで決済できるシステムを導入しました。新型コロナウイルスの感染拡大は予期していませんでしたが、待ち時間の短縮にもつながるため、いろいろな面で感染リスクを減らすことができ、患者さんと受付スタッフ双方から喜ばれています」(保阪院長)

保阪院長はセミセルフレジシステムを導入した理由として、患者の利便性とともに、スタッフへの配慮を強調する。会計は、直接現金を扱うため神経を使う上にトラブルが生じやすく、大きなストレスを感じる業務。金額の入力や釣銭の間違いでレジの金額が合わなければ、その確認に時間がとられたりするなど業務としての負担が大きい。

「セミセルフレジシステムは、レジを締めると、1日のお金の動きが表になって見えるので、とても便利です。通常であればレジ締めは何度もやり直したり、時間がかかったりするものですが、このシステムを使えば1回、しかも数秒で終わります。急な検査が入ると診察が長引くこともあるので、機械が得意な部分は機械に任せています。スタッフの負担を軽減できるというのは大きなメリットです」(保阪院長)

電カル・レセコン一体型のセミセルフレジ

同院が導入しているのは、ハヤレジ(株)が展開するセミセルフ型自動釣銭機レジシステムの「ハヤレジ」(https://hayaregi.com/)。ハヤレジは、保阪院長が「決め手になった」と語る、金融機関や大手コンビニエンスストアで採用実績の多いGROLY社製の自動釣銭機を搭載しており、コンパクトながら高性能で、費用対効果に優れたセミセルフレジという点に大きな特徴がある。医療機関側の操作画面()も見やすいレイアウトとなっており、電子カルテ・レセコンと連動しているため扱いやすい。同院では導入から約10カ月経過しているが、故障や不具合は生じていないという。

また、一体型PCのタッチディスプレイによる患者側の操作方法もシンプルかつ分かりやすく、同院では高齢者も1人で使いこなしているという。

「高齢の患者さんからも『スタッフに直接支払いをしたい』という声はまったくありません。また、多くの方が電子マネーで精算しており、新型コロナウイルスの影響があるのかもしれませんが、想像以上に幅広い層に普及している印象を受けます」(保阪院長)

「安心して受診できる環境を整備したい」

ハヤレジは、レジ締めにかかる時間の短縮につながることから、厚生労働省が実施する働き方改革推進支援助成金のうち「勤務間インターバル導入コース」の対象製品となっている。申請すれば最大100万円の助成金が支給される。

保阪院長は、“withコロナ期”のクリニックにおいては、こうした公的補助を活用するなど院内ICTによる感染防止対策に取り組むことが重要と指摘する。

「新型コロナの影響で受診や検査を控えてしまった人が数多くいると感じています。当院では臨床検査技師が常駐して内視鏡を中心に質の高い検査を行っていますが、不安な環境では患者さんの足は遠のいてしまいます。医療従事者と患者さん双方の感染リスクを減らす環境を整えていくことが、これからの地域のクリニックに求められている役割だと考えています」

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