1 CGMとは何か
皮下連続式グルコース測定(CGM)は連続して皮下間質液のグルコース濃度を測定する。その値は真の血糖値ではなくセンサーグルコース値(SG)と呼ばれる。CGMは24時間にわたる血糖の変動を明らかにする。
2 CGMでわかること
CGMは血糖を点でなく,線としてとらえる。血糖自己測定(SMBG)ではわからなかった隠れた低血糖,隠れた高血糖がわかる。また,1点を測定するSMBG値では今血糖が上昇しているのか,下降しているのか,安定しているのかはわからないが,CGMではわかる。さらにSMBGが困難な夜間の血糖の推移を知ることができる。
3 どのような患者に用いるか
レトロスペクティブCGMは通常の生活の中でどのように血糖が変動しているかを知り,食事療法,運動療法,薬物療法の効果を視覚的に知ることができる。
リアルタイムCGMは血糖変動の激しい患者,無自覚性低血糖の患者,厳格な血糖コントロールの求められる1型糖尿病合併妊婦,周術期の患者,見守りが必要な小児,高齢の1型糖尿病患者などが良い適応となる。
4 CGMの評価(TIR)
2019年6月にCGMによる血糖コントロールの指針が発表され,測定値70〜180mg/dLをtime in range(TIR),180mg/dLを超えるものをtime above range(TAR),70mg/dL未満をtime below range(TBR)とし,1型糖尿病,2型糖尿病,高齢者,ハイリスク患者の治療目標が決められた。
5 CGMの評価(AGP)
CGMでは血糖曲線は日々異なる。ambulatory glucose profile(AGP)は1日のうちで低血糖や高血糖となる可能性の高い時間帯や血糖値の変動が大きい時間帯などを視覚的に簡単に把握しやすくする解析手法である。
6 レトロスペクティブCGMの療養指導
1〜2週間検査を行ってからその結果を振り返ってみるレトロスペクティブCGMで重要なのは,どのような要因(食事内容,食事時間,間食,活動量,インスリン注射量など)により血糖がどのように変動するかを知り,行動変容を促すことである。また,夜間など気がつかなかった低血糖の存在を知らせて就寝前の補食や基礎インスリンの調整を行う。
7 リアルタイムCGMの療養指導
CGMは真の血糖値より,約5〜30分くらい遅れて変動する。そのため,本当は低血糖となっていてもCGMではまだ低血糖になっていないことや,低血糖の処置をして血糖は上昇していてもCGMの値はまだ低いままのことがある。このことを患者はよく知っている必要があり,血糖が変動している場合はSMBGで確認をする必要がある。
血糖の上昇,安定,下降は画面の矢印でわかる。トレンドを確認してから行動する。リアルタイムCGMであっても患者任せにせず,外来でレポートを打ち出し,どのような場合にインスリン調整をしたか,血糖が高かったか,低かったかを患者と一緒に振り返ることが大切である。