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エッセイ仲間[なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(306)]

No.5016 (2020年06月13日発行) P.70

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2020-06-10

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九州大学大学院医学研究院消化器・総合外科学教授(長い…)の森正樹先生から、エッセイ集『外科医から観たマクロの社会学』をご恵送いただいた。主に、雑誌「臨牀と研究」での月1回の連載がまとめられたものだ。

森先生はむちゃくちゃにお忙しい人である。消化器外科学会の理事長をお務めだし、2年前には大阪大学から九州大学へ異動されている。そのような時期に書かれたエッセイなのだが、よく練られた面白いものばかり。感嘆しながら一気に読了した。

定年まで3年しか残されていないのに異動されたのは異例中の異例だ。母校の消化器外科のためにぜひと請われてのことだとおうかがいしている。もちろん相当に驚いた。けれども同時に、歴史は繰り返す、森先生はそのような運命の人なのかとも思った。

15年も前の話だから、書いても差し障りないだろう。当時、阪大の第一外科(一外)と第二外科(二外)のどちらにも消化器外科があった。一外の大看板は心臓外科だったが、消化器外科の医師もたくさんおられて、その関連病院も多かった。そんな状況だったので、外科系教室の臓器別再編についての議論は白熱し、消化器外科に関しては、教授2名を選考することだけが決定された。

うまい具合に、2名の教授選考をほぼ同時に進めることになった。一外と二外から1人ずつ選ぶのが順当かもしれないが、それだと、いつまでたっても両者の壁が残ったままになるのではないか。そこで、学外者である森先生に白羽の矢が立てられたのだ。

今でこそ大教授だが、当時はそれほど有名ではなく、森先生をよく知る人はほとんどいなかった。不安視する声もなくはなかったが、当時の研究科長が「どこからも悪い噂が入ってきません」と教授会で発言されたこともあって決定したような次第である。

平成20年から、二外出身の土岐祐一郎教授と共に、おそらく全国でも初めて、教授2名で一体化した「消化器外科学」講座の運営が開始され、日本一の消化器外科学教室(←個人の見解です)に育て上げられた。

エッセイ集を読んで、阪大におられる間にもっとお話しておけばよかったと後悔しきりである。ただ、ひとつだけ気に入らないタイトルのものがあった。「意外(?)な文化都市大阪」がそれだ。意外とは失礼なっ!お忙しいだろうけれど、いつか、大阪文化の粋である文楽にお連れしたいと思っている。

なかののつぶやき

「森正樹先生には、この連載をご愛読いただいているらしい。尋ねたらきっと『そんなのいいです』と断られそうなので、前もってのおことわりなしでの掲載です。いまごろ、すっごく驚いておられるかも」

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