2型糖尿病例では脳卒中リスクの上昇が知られているが、脳卒中高リスク例の特定には網膜症チェックが有用である可能性が示された。2月19日からロサンゼルス(米国)で開催された国際脳卒中学会(ISC)において、大規模試験“ACCORD-Eye”追加解析の結果、明らかになった。Ka-Ho Wong氏(ユタ健康大学、米国)が、一般口演で報告した。
ACCORD-Eye試験の対象は、心血管系2次予防、または高リスク1次予防の2型糖尿病2828例である。平均年齢は62.1歳、62%を男性が占めた。また30.9%が糖尿病性網膜症を合併していた。これらはHbA1c目標値「6.0%」未満群と「7.0-7.9%」群にランダム化され、追跡された。
その結果、平均3.5年間の追跡期間中117例(4.1%)が脳卒中を発症した。糖尿病性網膜症例の割合は、脳卒中発症群(41.0%)の方が、非発症群(30.5%)よりも有意(P=0.016)に多かった。そこで糖尿病性網膜症群と非網膜症群に分けて比較したところ、糖尿病性網膜症群における脳卒中発症ハザード比(HR)は1.55(95%信頼区間[CI]:1.07-2.24)となっていた。なお、両群の脳卒中発症曲線は観察開始直後から乖離を始め、差は開き続けた。さらに多変量解析で脳卒中発症リスクを求めると、「糖尿病性網膜症」のHRは1.52(95%CI:1.05-2.20)となり、「男性」(同2.03、1.31-3.13)、「心血管系疾患既往」(同1.60、1.10-2.33)に次ぐ大きなリスクとなっていた。
なお、この「糖尿病性網膜症に伴う脳卒中リスク増加」は、血糖低下治療、脂質低下治療、降圧治療(いずれも「積極」vs. 「通常」)のいずれにも、有意な影響を受けていなかったという(交互作用P値>0.05)。この点は、より詳細な解析が求められるだろう。