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高気圧酸素治療(HBO)

No.4988 (2019年11月30日発行) P.52

柳下和慶 (東京医科歯科大学スポーツ医歯学診療センターセンター長/医学部附属病院高気圧治療部准教授)

登録日: 2019-12-01

最終更新日: 2019-11-26

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【急性期の適用にて,腫脹軽減と早期治癒を促進する可能性がある】

高気圧酸素治療(hyperbaric oxygen therapy:HBO)は,特殊治療装置内で高圧環境とし純酸素吸入とする治療法で,最大気圧2.0~2.8気圧にて60~90分の治療が国際的な標準治療である。血漿内の溶解型酸素濃度を10倍以上とし,末梢の低酸素組織への酸素供給が可能である。

HBOの適応疾患には糖尿病性足病変や末梢循環不全での皮膚潰瘍などがあり,線維芽細胞を活性化し創傷治癒に寄与する。スポーツ外傷の急性期では,多くは局所が腫脹し末梢循環が悪化し,損傷祖域の低酸素環境を呈する。受傷早期のHBOは局所低酸素環境を改善し,血管透過性や末梢循環動態を改善することで軟部組織の腫脹が軽減する1)。さらに,急性期におけるHBOにて,ラット骨格筋損傷モデルでは,筋衛星細胞を活性化し創傷治癒を促進し1)2),ラグビー選手における膝内側側副靱帯損傷では,早期の疼痛軽減と25%の早期競技復帰が可能だった3)

スポーツ外傷に対するHBOのプロトコールは,受傷から可及的早期から開始し,7日以内で3~5回が推奨されている。外傷急性期治療の原則は,安静・氷冷・圧迫・挙上(RICE)だが,HBOが急性期治療の一端となる可能性が期待されている。

【文献】

1) Oyaizu T, et al:Sci Rep. 2018;8(1):1288.

2) Horie M, et al:J Appl Physiol (1985). 2014; 116(2):149-55.

3) Yagishita K, et al:Undersea Hyperb Med. 2019; 46(5):647-54.

【解説】

柳下和慶 東京医科歯科大学スポーツ医歯学診療センターセンター長/医学部附属病院高気圧治療部准教授

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