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世界遺産の病院[なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(277)]

No.4985 (2019年11月09日発行) P.65

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2019-11-06

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バルセロナは観光客で大賑わい。いちばん人気はもちろんサグラダ・ファミリア教会。10年前に訪れた時に比べてだいぶできあがっていて感心した。2026年には完成するそうなので、また見にいきたい。

設計者はご存じアントニ・ガウディだ。バルセロナには、他にも、グエル公園、グエル邸、コロニア・グエル礼拝堂、カサ・ミラなどがあり、「アントニ・ガウディの作品群」として世界遺産に登録されている。

施主であったガウディ最大の支援者、実業家で政治家のエウゼビ・グエルがいなければ、ガウディの作品は世に出なかったかもしれない。今回はグエル邸に行ったのだが、その壮麗な内装にはいたく感動した。

ガウディの建築だけで、バルセロナにどれだけの観光収入をもたらしているのだろう。必ずしも幸せでなかったガウディの一生を思うと、ちょっとせつない。

そのバルセロナに、世界遺産に登録されている病院建築があるのをご存じだろうか。設計者の名前はドミニク・モンタネール。ガウディに比べると知名度は100分の1以下のような気がするが、同時代に活躍した、というよりも、当時はガウディよりもはるかに人気の建築家であった。

バルセロナでは、モンタネールのふたつの作品、サン・パウ病院と、とんでもなく華麗なシャンデリアが有名なカタルーニャ音楽堂も世界遺産に登録されている。

10年前にサン・パウ病院へ行った時は、1902年に建築が始まった建物群の一部が、まだ現役として使われていた。いまは病院機能が完全に新しい近代的な建物に移り、すべて見学できるようになっている。

モデルニスモ建築群と呼ばれる十数棟の建物は煉瓦作りにタイルの飾り、まるでおとぎの国のような装飾だ。それだけではない。もっと素晴らしいのは、病院として極めて機能的にできていることである。手術室は光を取り入れるために半円形でガラス張りだし、感染症患者は完全に別棟だ。そして、人々の移動のため、それらの建物が白くまぶしい地下道でつながれている。

100年以上も前に、壮大なる規模の機能的にして芸術的な病院が建てられたということに感動を禁じ得ない。その場所はサグラダ・ファミリアからガウディ通りを真っ直ぐ歩いて約1km。医療関係者にとっては必見の観光ポイントだ。

なかののつぶやき
「サン・パウ病院、モデルニスモ建築群の全景(ただし模型)です。いちばん手前の管理棟は内装も美しい。バルセロナへ行かれる機会があれば、ぜひ!」

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