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クリニック向け自動精算機で受付の会計負担を軽減[クリニックアップグレード計画 〈システム編〉(11)]

No.4982 (2019年10月19日発行) P.14

登録日: 2019-10-18

最終更新日: 2019-10-18

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少子高齢化が急速に進む日本では、労働人口の減少により、どの産業においても深刻な人手不足が顕在化しつつある。特に医療界は労働集約型産業の代表的存在とされ、人材難や働き方改革への対応として、生産性の向上や効率化が医療機関運営における最重要課題の1つとなっている。連載第11回は、オートメーション化によりスタッフの負担軽減と患者の利便性向上を同時に実現したクリニックの取り組みを紹介する。

クリニックの生産性向上や効率化に有効な手段の1つとして考えられているのが、デジタル技術を中心にした院内のオートメーション化だ。予約やWEB問診のシステム、キャッシュレス決済サービスなど、さまざまな製品が登場している。東京・杉並区で透析専門クリニックとして診療を行ってきた阿佐ヶ谷すずき 診療所は、新たに設置した一般外来の患者が増えたことでスタッフの業務が増え、それを軽減するために2018年8月から自動精算機を導入した。

患者の“会計待ち”をなくしたい

会計は、直接現金を扱うため神経を使う上にトラブルが生じやすく、事務スタッフにとっては大きなストレスを感じる業務だ。また保険診療と自費診療で会計を分ける必要があったり、金額の入力や釣り銭の間違いでレジの金額が合わなければ、その確認に時間がとられたりするなど業務としての負担が大きい。

院長の鈴木太さんは自動精算機を導入した理由についてこう語る。

「患者さんが増えていくにつれ、事務スタッフの業務も多様になり、会計でお待たせしてしまうケースが多くなりました。会計はお金を扱うので常に責任が伴い、ミスをしてはいけないというプレッシャーもあるので、スタッフにとって決して楽な仕事ではないと思います。スタッフの作業負担を軽減し、かつ患者さんの不満を極力取り除くために自動精算機を導入することにしました」

使用中の電カル・レセコンと連携が可能

同院が導入したのは、デジタルを活用したヘルスケアサービスを提供するGENOVAの「NOMOcaスタンド」(https://www.nomoca.genova.ltd)。クリニック向けに開発された自動精算機で、高さ146cm、幅55cm、奥行27.5cmと競合製品の中でも最もコンパクトサイズのため、設置に広い場所を必要としない。

鈴木さんが導入の「決め手だった」と指摘するのは、90%以上の電子カルテ・レセコンとの連携が可能という点。「使っているシステムに合わせてカスタマイズできる自動精算機を探していたので、すぐに導入を決めました。7月には新たに電子カルテを入れ替えたのですが、スムーズにシステム変更することができました」

このほか再来院の受付機能もあり、受付業務のかなりの範囲を1台でカバーできる。

「自動精算機に何らかのトラブルがあった場合は、遠隔によるサポートサービスで大体解決できます。難しい場合にはすぐにGENOVAさんのスタッフが訪問してくれるので、導入して1年以上になりますが特に大きな問題は起こっていません。いろいろなアドバイスをもらううちに、ITの専門家として院内のICTシステムの相談にも乗ってもらうようになりました」

受付が患者と向き合う時間を確保

患者がNOMOCaスタンドを利用する場合の流れは図の通り。診察終了後、①診察券のQRコードをタッチ、②画面に表示された会計金額を投入、③投入金額と精算内容を画面で確認、④精算が終了、⑤領収書・明細書を受け取る、⑥お釣りを受け取る―という形になる。混雑時は窓口会計と併用に切り替えることができ、患者を待たせることがない。また17インチのタッチパネル画面の誘導で簡単に操作ができるため、同院では高齢者でも2回目からはスムーズに会計を終えているという。クリニック側の作業は、医師が電子カルテで入力した情報をレセコンで取り込み、会計チェックをするだけ。あとは自動精算機にデータが飛ぶ。

鈴木さんはNOMOCaスタンドを導入したことにより、受付が本質的な業務に集中できるようになったと効果を実感している。

「受付はやはりクリニックの顔としての業務をメインにすべきだと思います。患者さんと丁寧に向き合うことは人間にしかできません。機械が得意な部分は機械に任せることで、患者さんのために時間を使えるようになりました」

医師・看護師の負担削減にもつながる

鈴木さんは、自動精算機を導入することでクリニック運営においてさまざまな効果が期待できると考えている。同院では、診療時間終了後の締め作業をスタッフ2人がダブルチェックする形で行っていた。確認作業に時間がかかり、たびたび残業が発生する要因となっていたが、現在では1人が精算機の日次集計データをチェックすればほぼ問題なく終了できるようになった。残業代の削減に加え、金銭の管理に伴うストレスを軽減することで定着率を上げ、結果的に求人にかかるコストの削減につながる可能性もある。

「現在、新たな人材の確保は非常に困難で、管理者はスタッフの状態を常に気にかけている必要があります。クリニックは各職種がお互いにフォローし合うチームプレイで成り立っています。自動精算機の導入によって事務スタッフの負担を削減することで、看護師や医師の負担も減り、質の高い医療を継続して提供できる環境が整ってきたと感じています。当院の一般外来には泌尿器科で受診する患者さんが多いのですが、一人一人の患者さんにしっかりと時間をかけ、できる限り透析にならないような治療や指導を行っていきたいと考えています」(鈴木さん)

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