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15歳以上の重症アトピー性皮膚炎に対する生物学的製剤(デュピルマブ)の使用について

No.4972 (2019年08月10日発行) P.53

海老澤元宏 (国立病院機構相模原病院臨床研究センター アレルギー性疾患研究部部長)

加藤則人 (京都府立医科大学大学院医学研究科皮膚科学 教授)

登録日: 2019-08-09

最終更新日: 2019-08-06

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  • 15歳以上での重症アトピー性皮膚炎に対する生物学的製剤(デュピルマブ)の使用経験を教えて下さい。免疫グロブリン(immunoglobulin:Ig)E抗体が劇的に低下する症例もあると聞きますが,併存するアレルギー疾患に対する効果も含めてご教示下さい。京都府立医科大学・加藤則人先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    海老澤元宏 国立病院機構相模原病院臨床研究センター アレルギー性疾患研究部部長


    【回答】

    【他のアレルギー疾患にも奏効することが期待される】

    アトピー性皮膚炎の病態形成には,皮膚バリア機能の低下,アレルギー炎症,痒みという3つの要素が深く関係していますが,そのいずれにもインターロイキン(interleukin:IL)-4とIL-13という2型サイトカインが重要な役割を有しています。デュピルマブは,IL-4とIL-13の共通の受容体であるIL-4受容体αサブユニットに対する完全ヒト型モノクローナル抗体です。ステロイド外用薬などの抗炎症外用薬による治療でコントロール不良の中等症以上の成人アトピー性皮膚炎患者を対象に,デュピルマブの効果を検討した第3相試験では,デュピルマブの単独投与によって,重症度の低下,皮疹スコアや痒みスコアの減少がみられたと報告されています1)

    2018年4月にわが国でも成人(15歳以上)の中等症・重症アトピー性皮膚炎に対してデュピルマブが使用できるようになりました。実際に使用した患者では,これまでのステロイド外用薬などの抗炎症外用薬による治療では軽快しなかった皮疹が,投与開始から数週間後にはかなり軽快することが多いようです。痒みに対する効果は皮疹の軽快より早く現れ,初回投与の数日後から痒みが軽減した,という患者が多いのが印象的です。難治な皮疹である痒疹結節にも効果がみられる例など,これまでの治療で皮疹や痒みが軽快しなかった患者の生活の質の改善に役立っていることが感じられます。なお,2週ごとの皮下注射で薬価は8万1640円/筒です。

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