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『そろそろ大阪の話をしよう』[なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(262)]

No.4970 (2019年07月27日発行) P.61

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2019-07-24

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また、本を出した。6冊目の単著である。まぁ、いうても、これまでの本は、生業とする生命科学とか病理学に関係する本だった。しかし、今回の本はちがう。『仲野教授の そろそろ大阪の話をしよう』というタイトルの、大阪をめぐる対談集である。

どうしてナカノがそんなことを、と思われるかもしれない。無理からぬところだ。実際、私だってそう思う。

4年ほど前になるが、東海大学出版が出している雑誌『望星』の編集者から連絡があった。3カ月に一度のペースで、大阪についての対談の連載を始めたいのだけれど、引き受けてもらえるだろうか、と。

はぁ?どういうこっちゃねん。大阪生まれの大阪育ちではある。しかし、本職はこれでも医学部教授だ。そんなことできるんかいな。というのが正直なところだった。一方で、おもろそうやという気もした。

対談相手はどうするんですか、と尋ねたら、すべて仲野さんにお任せします、とのこと。こう書けば聞こえはいいが、それって丸投げ企画やないの。

しかし、梅棹忠夫の教え「請われれば一差し舞える人物になれ」を信条のひとつにしている私だ。こんなところで舞っている場合ではないような気もするが、まぁ、やってみましょうか、とあいなった。知らない人との出会いがあれば面白いし。

連載時のタイトルは、地形と心の無意識から大阪をひもといた中沢新一の名著『大阪アースダイバー』の向こうをはって『大阪しち~だいば~』。大阪人、大阪弁、かつての色街、大阪城、大阪の私鉄、食、音楽、おばちゃん、落語、ソース文化、大大阪時代、そして、東京と大阪の違い、という12のテーマについて語り尽くした。

大阪では知らぬ者のない「浪花のモーツァルト」ことキダ・タロー先生、「全日本おばちゃん党」の代表代行でテレビのコメンテーターも勤めておられる谷口真由美さん、それに、たっての願いで、芥川賞作家の柴崎友香さんにもご登場いただけた。

大阪といえば、お笑い、ガラが悪い、こなもん、とかがイメージとしてありがちだ。そんなステレオタイプではとらえられない、ちょっとええ大阪を発見できる本になったと自負している。大阪の人もそれ以外の人も、ぜひ読んでください。むっちゃおもろいこと保証します!

なかののつぶやき
「白黒写真なのでよくわかりませんが、丁寧に描かれたヒョウ柄に金色の文字という、いかにも大阪らしい派手な装丁になっとります」

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