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スポーツ医学 sports and exercise medicine〈総論〉─プライマリ・ケアとスポーツ医学[プライマリ・ケアの理論と実践(17)]

No.4964 (2019年06月15日発行) P.8

濱井彩乃 (安房地域医療センター総合診療科部長代理/亀田ファミリークリニック館山)

登録日: 2019-06-13

最終更新日: 2019-06-12

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SUMMARY
スポーツ医学は整形外科だけでなく,領域横断的な分野であり,総合診療・家庭医療に親和性が高い。プライマリ・ケアの現場で役立つ内容が多く,ぜひ多くの方に知って頂きたい。

KEYWORD
スポーツ医学
様々な領域にまたがる領域横断的な分野であり,筋骨格系・非筋骨格系の様々なスポーツ障害への対応・予防や,健康増進のための運動,チームに対するケア,大会救護などプライマリ・ケアで役立つ内容が多く含まれる。

濱井彩乃(安房地域医療センター総合診療科部長代理/亀田ファミリークリニック館山)

PROFILE
亀田ファミリークリニック館山で家庭医療を学び,現在は小病院の指導医として勤務。special interestはスポーツ医学。家庭医療専門医・指導医,日本スポーツ協会公認スポーツドクター,障がい者スポーツ医。

POLICY・座右の銘
自分の目で見て,考え,行動する

1 プライマリ・ケアとスポーツ医学 sports and exercise medicine

「スポーツ医学って整形外科ではないのですか─?」私が家庭医だと名乗ると,よく聞かれる質問である。そんなとき,以下のような事例を紹介しながら説明している。

・陸上部の女子高生が,疲れやすいとの主訴で受診。ヘモグロビン9.5g/dLと貧血がある。痩せ型で月経不順もあるとのこと。
・国体に出場歴のある大学生が,感冒症状で受診。ドーピング検査で引っかからないような薬を出して欲しいと言われた。
・糖尿病,高血圧の患者に運動を勧めたところ,「どんな運動をどのくらいすればよいか?注意点はあるか?」と聞かれた。
・今年の夏は暑く,学校医をしている中学の野球部から,何人も熱中症で来院している。学校医としてできることがないだろうか。
・地域のマラソン大会の救護担当を,医師会から依頼された。何を準備すればよいか。
・喘息でかかりつけの11歳の女児が,ミニバスケットボールをやっており,最近膝痛があるとのこと。受診のついでに相談をされた。

このような状況であれば,プライマリ・ケアで十分起こりうると感じて頂けるだろうか。これらの問題はすべて,スポーツ医学の領域で扱われる。運動やスポーツのレベルは問わない。トップアスリートのみならず,部活動や健康のための運動すべてが対象となる。もちろん筋骨格系の問題の頻度は高いのだが,それだけでは十分ではない。領域横断的でジェネラルな診療能力が必要であり,総合診療・家庭医療に親和性の高い領域である。

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