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大変化の先に幸福あり[特集:医療の近未来予想図]

No.4958 (2019年05月04日発行) P.55

長谷川有史 (福島県立医科大学医学部 放射線災害医療学講座主任教授)

登録日: 2019-05-04

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  • 私の勤務した四半世紀、地方医科大学は激変した。中でも印象的だったのは2004年4月の新医師臨床研修制度導入後の変化だ。大学病院の若い医師が激減したのだ。医局という組織が医師の卒後教育を担った時代、大学病院は一つでも多く症例・手術を経験しようとする若い医師で溢れていた。地方大学で働く若い医師の姿勢は今も変わらぬ。だが卒後臨床研修の必修・選択化が、都市部への医師偏在化、地域派遣医師の大学帰還、地域の医師数減少に拍車をかけた。医師数減少は高齢化や過疎と並び、地域が潜在的に抱える課題であり、それが顕在化しただけだ。だが、続く東日本大震災・原子力災害を契機に未来の医療問題がさらに前倒しされた地域に暮らすと、診療科閉鎖、入院・手術制限などの変化を日々感じる。

    診療科や勤務地によらず、外来・手術・回診・カンファ・病状説明・IC・書類作成・教育・研究と、医師は膨大多様な業務をこなす。そんな医師へも2024年4月から「働き方改革関連法」が適用される。地域医療を担う医師でも時間外労働は年1860時間に制限管理され、違反への罰則規定を伴うという。本来歓迎すべき政策を危惧するには理由がある。厚生労働省の調査で年上限をクリア出来ぬ医師の多い診療科(科内の上限超医師数割合)は、産婦人科(20.5%)、外科系(14.2%)、救急科(14.1%)と続く。上記は医療の質を担保するために一定の労働時間を要する診療科である。同時に上記は医師数減少の影響を受けやすい診療科である事をも示し、研修医が敬遠する要因にもなり得ると考える。以下に2つの相反する近未来予想を示す。

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