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人が中心となる統合提供体制の創出を[特集:医療の近未来予想図]

No.4958 (2019年05月04日発行) P.53

新田國夫 (日本在宅ケアアライアンス議長)

登録日: 2019-05-04

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  • 1.近未来において確実なことは総死亡の50%が85歳以上。2.現在国民医療費の23%が80歳以上。3.現在病院以外で最期を迎える人の割合は13%であり、生前の希望とは異なる場所で亡くなる人がほとんど─。こうしたことを基本として二つのシナリオがある。

    第一のシナリオは現状の微小改革、実際は現状維持で進む。日本の柱状社会は過去50年以上継続している。基本的には何も決まらない社会、変革のない社会である。医療、介護、福祉とも既存の権利確保を中心としつつ、いくばくかの改革がなければ、自らの存在も危うくなるために微小の改革を行いながら、それぞれの柱状社会が力を持ち続ける。今後も高福祉なるものが期待されない中、さらなる借金を重ねる。借金を減らすためにいくばくかの改革をするが基本的解決を生まない。その間に地方から日本社会は壊れていく。地域集約型となり、現在ミャンマー、ベトナム、中国で見られる世界に戻る。中心部に巨大病院が存在し地域には医療過疎、不信頼を生む形となる。地域病院計画は適切な地域区分による病床配分が必要であるが、民間主体の日本では困難をきわめ、ベッドを埋めるために高齢者を入院させるという必然的な方向性となる。また、施設を維持するために大多数の高齢者を入所させる。さらなる家族の分断化、個人の人としての無価値化が起こる。

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