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医学史から見る医学・医療の現在、そして近未来[特集:医療の近未来予想図]

No.4958 (2019年05月04日発行) P.39

坂井建雄 (順天堂大保健医療学部特任教授)

登録日: 2019-05-03

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  • 人間はどうしようもなく身勝手で忘れっぽいと思う。私も含めてのことだが、日頃は自分の都合や今のことばかりを考えている。しかし医学史の研究を通して過去の医学・医療を調べると、現在の医学・医療についての見方が明らかに変わってくる。海外で暮らすと、日本のことがよく分かるのと同じである。

    50年前の医学・医療はどうだったのだろう。私がまだ中学生の頃だ。その頃の医療はあまり信用されておらず、軽い病気は医者にかかってもかからなくても自然に治る、重い病気は病院にかかって治ったら幸運で、医者はたいそう感謝された。現在ではたいていの病気は病院で治してもらえると、少なくとも社会の側は思い込んでいる。だから治してもらって当たり前、失敗をしたら強く非難される。それだけ医療が進歩して、当てにならないものから信頼されるものへと変わった証左である。

    この50年間に医療技術は大いに進歩した。循環器疾患の診断・治療が進歩し、人工透析が普及した。CTとMRIは1970年代に登場し、1990年代以降に急速に性能を向上させて、疾患部位が的確に捉えられるようになった。悪性腫瘍も早期発見により手術成績が向上し、内視鏡手術は患者のQOLを著しく向上させた。50年前の死亡原因の第1位は脳血管疾患、悪性新生物は第2位で、心疾患が第3位、そして腎不全が第5位に入っている。現在では脳血管疾患と腎不全はほぼ半減した。

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