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20X0年のある日、私は問いかける。「医療とは何か」[特集:医療の近未来予想図]

No.4958 (2019年05月04日発行) P.36

黒木春郎 (外房こどもクリニック院長)

登録日: 2019-05-02

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  • オフィスにて

    画面では小4の児が自宅のソファでくつろいでいる。私はオフィスでコーヒーを飲みながら、wearableのオンライン診療セットから児の自宅にアクセスしたところだ。この児は数字が好きで、3桁の素数を瞬時に並べることができる。現在は、ゲーム仕立てのトレーニングプログラムで他人の表情を読む訓練をしている。表情の区別もだいぶつくようになった。親御さんにプロバイオティクス継続をお話しする。マイクロバイオームへの働きかけで社会的共感性とセロトニン分泌が促されることは、すでに確立された学説だ。児と私とは、たどたどしいが会話が成り立つようになった。結構楽しい時間である。

    サラリーパーソンの母親

    朝会社に行く前、子どもが発熱した。かかりつけ医の病児保育から子どもを迎えに来てもらう。会社から5Gゴーグルとグローブで子どもに話しかけ、触れてみる。穏やかに眠ったままだ。そばに行って実際に触れてみたいと思うが、仕事に戻る。今日は「こども看病申請」をしたので、午後には退社できる。

    病院勤務医のある日

    オンライン救急外来からの呼出音が鳴った。画面では幼児があえぐような呼吸をしている。児に装着したwearable deviceで体温は経時的に記録される。昨夜から急速な上昇がある。応答はできるが何となくぼんやりしている。敗血症も考え、救急受診を指示する。病院直行の自動運転リニアカーを手配し、病棟の受け入れ態勢を整えて、待つ。

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