株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

医療にかかわる教育をこれからどう変化させるか[特集:医療の近未来予想図]

No.4958 (2019年05月04日発行) P.31

狩野光伸 (岡山大学副理事・大学院ヘルスシステム統合科学研究科教授(外務大臣次席科学技術顧問))

登録日: 2019-05-02

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 人工知能は人間に取って代わるか、という質問がよく聞かれる。人工知能の特性を踏まえて、人間側がどんな能力を伸ばすと、理想的な役割分担ができるようになるか、という問いの方がよりよいと思う。その問いへの私の予測は「未知への対処」能力である。そう考える理由を以下に説明する。

    まず、人工知能が得意とすることは何か。数字で表すことができて、既に存在する情報は、膨大な量・種類を扱える。扱う情報をすべて取り込んだ上で相関関係を提示できる。一度確立した方法を他の機械へ伝える障害はない(個々の子供に一から教育が必要な人間とは異なる)。そして機械全般が得意とすることは、指示通りの繰返し作業である。

    では人工知能が不得意とすることは。数値化できない情報やネット上などにも存在しない情報は取りに行けない(そのためスマホやウェアラブル端末等の活用が言われる)。原因と結果の(因果)関係は示せない。人間にとっての意味は示せない。共感をするようには作られていない。こんなところか。

    これらを踏まえ、医療の仕事の要素から、医療者はどんな能力を磨く(教育する)必要があるか、考えてみる。①患者が症状・困難を感じ相談に来る。その軽減や解決を試みる。患者の主観的情報をよく聞く必要がある。ではその情報に、未知の表現や、意義を理解しにくい情報が入っていたら? ②聞いた情報から、疾患の種類や扱うべき専門科について仮説を考える。考えた仮説に沿って、他覚的な、つまり検査情報を集める。その際に、もし既に知っている分類に当てはまらない情報が含まれていたら? ③考えた仮説に沿って治療を始めてみる。主観的・他覚的情報の変化を見ながら軌道修正をする。もし、知られている治療法では扱えない(つまり難治の)症状や困難だったら?─問いかけの部分は、人工知能は対応できないのでは。だが今の医療者も、その訓練は十分か。

    残り553文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top