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僧帽弁閉鎖不全に対するカテーテル治療

No.4951 (2019年03月16日発行) P.52

中川晃志 (岡山大学循環器内科)

登録日: 2019-03-13

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【MitraClip®による経皮的治療が開始に】

重症僧帽弁閉鎖不全症(MR)は心不全をもたらし,症候性の場合の年間死亡率は5%を超える。標準的治療法である外科手術が,高齢,併存疾患,低心機能などの原因から困難となるハイリスク症例に対する低侵襲治療として,海外では経皮的僧帽弁形成術が広く普及している。その中でも5万例以上と最多の治療実績を有するMitraClip®が,わが国初となる経皮的僧帽弁形成デバイスとして2018年4月から保険適用となった。

MitraClip®は,コバルトクロム製のクリップを用いて僧帽弁前尖と後尖の先端を留め,重複僧帽弁口を形成し,MRを減少させるデバイスである。手技は大腿静脈穿刺,経心房中隔的に左房にアプローチの上,X線透視,経食道心エコーガイド下に行う。国内治験における手技後30日の結果では,86.7%の患者のMR重症度が2+以下に軽減,96.7%の患者のNYHA機能分類がクラスⅠまたはⅡに改善し,主要有害事象(死亡,脳卒中,心筋梗塞,腎不全,非待機的心血管外科手術)は認めていない1)。長期成績に関しては,重症MRの患者をMitraClip®群と外科手術群にランダム化し,治療効果と安全性を比較したEVERESTⅡ trialの5年後の結果において,変性性MR,機能性MRのいずれにおいても,持続したMRの軽減,左室容量の改善およびNYHA機能分類の改善が示されている2)

適切な症例選択,手技の習熟が必須であるが,今後わが国でも重症MR治療の重要な選択肢となり,普及していくことが予想される。

【文献】

1) Hayashida K, et al:Circ J. 2017;81(8):1116-22.

2) Feldman T, et al:J Am Coll Cardiol. 2015;66(25): 2844-54.

【解説】

中川晃志 岡山大学循環器内科

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