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食物アレルギーのパラダイムシフト[プラタナス]

No.4947 (2019年02月16日発行) P.3

田中泰樹 (小児科すこやかアレルギークリニック院長)

登録日: 2019-02-16

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  • パラダイムシフトとは、従来の考え方が大きく変化することを意味する。食物アレルギー(以下、FAと略)の世界では、まさにパラダイムシフトが起きている。

    提示の画像は、12年ほど前に私が主治医であった乳児アトピー性皮膚炎(以下、ADと略)の患者さんの画像である。患児は、多種食物アレルギーを合併し、卵白6、ミルク6、小麦5、大豆6、ピーナッツ5、ゴマ4、エビ4、ソバ3など特異的IgE抗体は軒並み高値であった。食物負荷試験を行えば、どれもアレルギー症状が誘発され、口にするのも恐怖心を覚え、除去を継続せざるをえない状況だった。成長してもなかなか食べられず、除去する生活に慣れ、学業が忙しく食物負荷試験も行えず、中学生になった今でも多くを除去している。

    その後、FA界に事件が起こる。茶のしずく石鹸騒動である。これによりADの湿疹部位から食物が入りFAを起こす、いわゆる「経皮感作」が解明されてきた。さらに、乳児ADを治療した上で、生後6カ月から少量の卵を継続的に食べさせることで卵アレルギーを8割減らすことができたという世界に誇る研究が日本発で行われ、FAは予防へと舵が切られたのである。

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