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透析阻止に向けた糖尿病性腎症重症化予防プログラムの全国均てん化

No.4946 (2019年02月09日発行) P.49

矢部大介 (京都大学大学院医学研究科糖尿病・内分泌・栄養内科学特定准教授)

稲垣暢也 (京都大学大学院医学研究科糖尿病・内分泌・栄養内科学教授)

登録日: 2019-02-07

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【地域連携強化による透析導入阻止に期待】

糖尿病性腎症は,1998年に慢性糸球体腎炎を抜いて透析導入原疾患の第1位となり,2010年には全導入患者の43.4%を占めるに至る。幸い,10年以降,糖尿病性腎症からの新規透析導入割合は横ばいだが,他の原疾患と比較すると依然突出しており,対策が急務である。

このような背景から,12年度の診療報酬改定では「糖尿病透析予防指導管理料」が新設され,2期以降の糖尿病性腎症を対象に,医師・管理栄養士・看護師を含むチームによる重症化予防が展開され,一定の効果を上げつつある。

さらに,16年度には,「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」が策定され,厚生労働省・日本医師会・日本糖尿病対策推進会議の連携協定を経て,保険者努力支援制度によるインセンティブのもと強力な推進が図られている1)

保険者(地域行政)は,地域の専門医,かかりつけ医の助言を受けながら検診やレセプトをもとに対象者(受診勧奨や保健指導が必要な未受診者や,通院中のハイリスク患者)を抽出し,糖尿病連携手帳(日本糖尿病協会 編)などを活用しながら,医療機関と連携して事前策定のプログラムに従い保健指導を行う。地域連携の活性化,保健指導の質の担保など課題はあるが,本プログラムを通じて,わが国の糖尿病対策がなおいっそう発展することに期待する。

【文献】

1) 厚生労働科学研究補助金:糖尿病性腎症重症化予防プログラムの開発のための研究. [http://tokutei-kensyu.tsushitahan.jp/jushoka/index.html]

【解説】

矢部大介*1,稲垣暢也*2  京都大学大学院医学研究科糖尿病・内分泌・栄養内科学 *1特定准教授 *2教授

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