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医原性サルコペニアをつくらない[炉辺閑話]

No.4941 (2019年01月05日発行) P.39

若林秀隆 (横浜市立大学附属市民総合医療センターリハビリテーション科診療講師)

登録日: 2019-01-03

最終更新日: 2018-12-26

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病院で疾患の治療を一生懸命頑張っても、治療後にねたきりや摂食嚥下障害になることは少なくありません。老衰の終末期や、疾患による機能障害がきわめて重度な場合には、予防や改善が困難なこともあります。しかし、病院での医原性サルコペニアが原因で、ねたきりや摂食嚥下障害になっていることもあります。この場合には、予防や改善が可能です。

筋肉量減少と筋力低下であるサルコペニアの原因には、加齢、活動不足(廃用性筋萎縮)、栄養不足(エネルギー摂取不足)、疾患の4種類があります。これらのうち、病院での不適切な安静や禁食、病院での不適切な栄養管理、医原性疾患によるサルコペニアのことを、医原性サルコペニアと呼びます。

たとえば、誤嚥性肺炎で高齢者が入院すると、「とりあえず安静」「とりあえず禁食」とされやすいです。同時に、末梢静脈で1日300kcal程度の「とりあえず水電解質輸液のみ」といった、不適切な栄養管理が行われることがあります。これらが医原性サルコペニアの原因です。誤嚥性肺炎の炎症でも、筋肉量が減少します。その結果、入院後に急速にサルコペニアが進行して、ねたきりや摂食嚥下障害となってしまいます。サルコペニアのない高齢者が入院すると、入院中に約15%がサルコペニアになる、という報告があります。

医原性サルコペニアの予防や治療には、リハビリテーション(リハ)栄養の考え方が役立ちます。リハ栄養とは、リハと栄養管理を一緒に行うことで、生活機能やQOLを最大限高める取り組みです。誤嚥性肺炎の入院後2日以内に適切なアセスメントを行い、可能な場合には早期離床、早期経口摂取を行います。ベッドサイドでのリハも開始します。経口摂取困難で禁食の場合、禁忌でない限り入院後2日以内にアミノ酸製剤や脂肪乳剤を含めた末梢静脈栄養管理を行います。疾患の治療と同時に、リハと栄養管理も入院後早期から一生懸命頑張ることが、生活機能やQOLを低下させないリスク管理として必要です。医原性サルコペニアをつくらない病院が増えることを期待しています。

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