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(2)急性咽頭炎におけるA群溶連菌の鑑別診断と治療[特集:文献を紐解く 溶連菌のこんな話題]

No.4937 (2018年12月08日発行) P.32

冨山周作 (飯塚病院総合診療科)

登録日: 2018-12-10

最終更新日: 2018-12-05

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急性咽頭炎はウイルスによるものが多く,抗菌薬は必要がないことが多い

急性咽頭炎の診療では,年齢を考慮する必要がある

皮疹が咽頭炎において診断の助けになることがある

1. 症例─抗菌薬は必要?

57歳,男性。既往歴は特になし。

2日前からの発熱と咽頭痛を主訴に外来を訪れた。39.4℃の発熱があり,右側扁桃は腫大し白苔が付着していた。また,右前頸部のリンパ節には腫脹と圧痛がみられた。血液検査ではWBC 1万4700/μL,CRP 5.37mg/dLと上昇していた。A群溶連菌の迅速検査キットでは陰性であった。はたして,この症例に抗菌薬は必要であろうか。

2. 急性咽頭炎の診断

外来診療において咽頭炎を診る機会は多いが,なんとなくの診療をしてしまいがちな疾患ではないかと思う。熱でぐったりしているから,症状が強いから,家族が心配しているからといった理由で抗菌薬を処方してしまうことはないだろうか?

厚生労働省から2016年に薬剤耐性(antimicrobial resistance:AMR)アクションプランが出ている1)が,2020年までに経口抗菌薬(セファロスポリン系,フルオロキノロン系,マクロライド系)の使用量を50%減少させる目標を実現可能にするには,この急性咽頭炎をペニシリンで適切に治療することで達成できると考えられている。

厳密な抗菌薬使用をするために,あらゆる医師が咽頭炎の診断に長けることが求められているとも言える。というのも,急性咽頭炎の原因はほとんどがウイルスであり,細菌の中でも一番多いA群溶連菌でも成人では5~10%,小児では15~30%ほどにすぎないと言われている2)。抗菌薬が必要ないことのほうが多く,きちんと適応を見きわめることが大切である。

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