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(3)症例から考える抗インフルエンザ薬の治療[特集:最新 抗インフルエンザ薬の作用機序と使いわけ]

No.4934 (2018年11月17日発行) P.39

原永修作 (琉球大学医学部附属病院総合臨床研修・教育センター特命准教授)

藤田次郎 (琉球大学大学院医学研究科感染症・呼吸器・消化器内科学講座/第一内科教授)

登録日: 2018-11-19

最終更新日: 2018-11-14

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インフルエンザの診療においては,患者の重症度を把握し,入院の要否,肺炎等合併の有無を判断し,治療方針を決定することが重要である

年齢,基礎疾患,免疫抑制の有無,妊婦,肥満,施設入所といった,インフルエンザ合併症をきたしやすい背景を意識する

抗インフルエンザ薬は,患者の重症度や基礎疾患を評価した上で使いわける

アドヒアランスの低い患者では1回で完結するラニナミビルやバロキサビル マルボキシルが有用である

重症例においては,ペラミビルの増量(600mg/日)や連日投与(3~5日)も考慮する

1. 症例提示

本特集では実際の症例を提示し,抗インフルエンザ薬の使いわけについて解説していきたい。

[症例1]
36歳,女性。基礎疾患なし。来院当日からの発熱,倦怠感で救急受診。迅速検査でインフルエンザAの診断となった。発熱以外のバイタルサイン異常なし。全身状態は軽度不良であるが,帰宅可能。

[症例2]
60歳代,男性。食道癌に対する内視鏡治療後で入院中に発熱し,迅速検査でインフルエンザBの診断となった。発熱以外のバイタルサインに異常なし,全身状態は良好であるが,絶飲食中。

[症例3]
86歳,女性。認知症で施設入所中。発熱と呼吸困難で来院。来院時,呼吸数30回/分,SpO2 70%(room air)/SpO2 93%(リザーバーマスク10L/分投与下)。迅速キットでインフルエンザAの診断となった。画像上,両側のすりガラス陰影と浸潤陰影に加え心拡大を認める(図1)。

  

このような症例において,抗インフルエンザ薬をどのように選択すればよいであろうか。以下にインフルエンザ症例の分類および抗インフルエンザ薬の使いわけについて解説する。

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