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ことばを覚える[なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(225)]

No.4932 (2018年11月03日発行) P.65

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2018-10-31

最終更新日: 2018-10-30

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ラジオ語学講座、10月から新学期である。半年単位の『まいにちスペイン語』は、これで6クール目の初級編。早い話が、ほとんど上達してないっちゅうことですわ。

なんでも、我が大阪大学の外国語学部において留年率の高い学科は「地獄のヒンディー、情熱のスペイン、極寒のロシア、灼熱のアラビア」といわれているらしい。地獄、極寒、灼熱は何となくわかるとして、情熱というのはようわからんなぁ。情熱的にむずかしいということやろうか。

スペイン語は発音が日本語に似てるから学びやすい、などというのは誤った噂である。確かに発音はそうかもしれんが、それだけで話せたら誰も苦労はしない。

動詞の活用がややこしいし、時制がやたらとたくさんありすぎる。当然のように男性名詞と女性名詞がある。その上、形容詞まで名詞の性に応じて語尾変化するのがある。堪忍してほしいわ、ほんまに。

以前、聞いて学ぶだけという語学教材を使っていたが、全くだめだった。ルールを知らずに動詞の語尾変化を耳から覚えたりするのはえらく非効率だ。じゃまくさそうに見えても、文法からはいった方が早い。

そこへいくと、子どもの言語習得能力は素晴らしい。2歳4カ月になる孫、自分なりにずっと実況中継している自動おしゃべり機械のようだ。しょっちゅう言い間違えているが、逐一訂正されているうちに、文法の規則が身についてきている。

あたりまえながら、スペイン語みたいに難しい言語であっても、母語とする子どもたちは、耳から聞き覚えていくのだ。いやはや、おっさんスペイン語学習者には信じがたいことである。

細々とはいえ、スペイン語を学び続けているのには訳がある。定年後に、南米各地の語学学校を2~3カ月ずつくらい渡り歩いて南下。そして、流暢なスペイン語を身につけて、颯爽と南米大陸最南端のパタゴニアを旅行したいと夢見ている。コスタリカのサンホセ、メキシコのメリダ、グアテマラのアンティグア、ペルーのクスコとかで観光しながら勉強するって、むっちゃええと思わはりませんか?

ほんまに行くのかどうか、自分でもようわかりません。でも、ラジオ講座をやめたらそこで万事終了みたいな気がするんで、しぶとく続けているのであります。

なかののつぶやき
「NHK Eテレの『旅するフランス語』の案内人、今回のクールは、なんと黒木華さん!ファンなので、フランス語を勉強する気はないけれど、まじめに見てます。耳がいいし、発音もいい。さすが、一流の女優さんはちがいますわ。『旅するスペイン語』に出てくれはったら、もっとスペイン語を勉強する気になるのになぁ、残念」

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