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難治性白血病に対するT細胞非除去ハプロ移植

No.4930 (2018年10月20日発行) P.54

望月一弘 (福島県立医科大学小児腫瘍科講師)

細矢光亮 (福島県立医科大学小児科主任教授)

登録日: 2018-10-21

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【進行期小児白血病に対する有望な治療法】

1970年代に近代的造血細胞移植が開始されてから40年になるが,移植免疫学の理解とともにgraft versus leukemia(GVL)効果の重要性が認識されてきた。すなわち,造血細胞移植は単に病気の骨髄を健康なそれに置き換えるにとどまらず,移植されたドナーリンパ球が残存腫瘍を攻撃する免疫療法としての位置づけである。

このため,近年HLA半合致移植またはハプロ移植(HLAの半分,つまり,1つのハプロタイプを共有しているという意味でのhaploidentical移植を略した呼称)と言われる移植が徐々に行われるようになってきた。これらは,たとえば親子間のように,HLAの半分は一致しているが他の半分は一致していない間柄での移植を意味しており,かつては不一致HLAに伴う重大な合併症〔graft versus host disease(GVHD)など〕ゆえに実施されてこなかった。その後,様々な免疫抑制療法の開発により,現在では実施可能な移植法となっている。

ここで理解しておく必要があるのは,一口にハプロ移植と言っても大きく異なる2つの目的のために実施されているということである。1つはHLA適合ドナー不在時の代替ドナー選択の拡大として,T細胞除去やCD34純化,移植後大量シクロホスファミドを用いるハプロ移植法であり,強いGVL効果は期待できない。もう1つは,強力なGVL効果による難治性白血病治療目的で,T細胞非除去で行うためGVHDをはじめとした合併症リスクはあるが,進行期小児白血病に対する有望な治療法(2年生存率≒60%:当科データ)になっている。

【解説】

望月一弘*1,細矢光亮*2  *1福島県立医科大学小児腫瘍科講師  *2福島県立医科大学小児科主任教授

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